「燃え尽きる一年になるかもしれない」元日本代表、橋本英郎はなぜ“おこしやす京都”を新天地に選んだのか

2022年02月09日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

初の地域リーグ挑戦。「楽しみでしょうがないです」

7年ぶりに関西に帰還した橋本。次なる挑戦の舞台は「地域リーグ」に決まった。(C)Ococias Kyoto AC

 1月下旬、橋本英郎は宮崎にいた。

 同じく新天地を探し求める選手たちと寝食を共にしながら、およそ3週間を過ごす日々。トレーニングやゲームの合間には、みんなで近隣の農園に足を運んだ。クラウドファンディングの返礼品として、取れたての野菜などを提供してもらうためだ。
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 昨年末にJ3のFC今治を退団してから、元日本代表MFの元にはなかなか獲得オファーが届かなかった。そこで飛び込んだのが、かつて柏レイソルやジェフ千葉でプレーした増嶋竜也氏が主宰する「#Reback(リバック)」プロジェクトだ。次なる活躍の場を見つけられない選手たちに救いの手を差し伸べ、トライアウトを兼ねたミニキャンプを実施して、プロクラブの強化担当にアピールしてもらう。その第2弾が、1月17日から2月7日まで宮崎県の新富町で行なわれていた。

 橋本は「Rebackには感謝しかないです」と話しながら、小さくない不安を抱えていたと明かす。

「去年の9月に鎖骨を骨折したんです。以前に肩を脱臼した影響もあって、復帰までにだいぶ時間がかかってしまって、そのままシーズンが終了。なので僕は5か月近く、まったく対人をやってなかったんです。今回、岡山や横浜FC、町田などのJクラブと練習試合をさせてもらったんですが、正直、コンタクトへの怖さがありましたね。でも、思っていたよりも動けたんで、そこは嬉しかったというか、ホッとしました」
 

 そんななか、2月7日にようやく新天地が発表される。関西1部リーグの王者で悲願のJFL昇格を目ざす「おこしやす京都AC」が、橋本の獲得を発表。なんと選手兼コーチという肩書きまで付いた。最終的にはほかにも正式オファーがあったというが、決断の決め手はどこにあったのか。

「もちろん、欲しがってくれるチームがなければ引退するしかなかったわけです。ただ、自分のなかではクラブとして明確な目標があるか、昇格を狙えるチームなのかどうかというのは、すごく大きな要素でした。クラブとして、どれだけ本気なのかと」

 2015年に当時J2のセレッソ大阪に移籍して以降、橋本は常に"昇格争い"の渦中に身を置いてきた。AC長野パルセイロ、東京ヴェルディ、そしてFC今治と、カテゴリーは違えど、そのヒリヒリするような感覚を味わい、唯一無二の目標を達成するためにチーム一丸となっていく過程に、底知れぬ魅力を感じてきたのだ。

「目的意識というか、誰もが同じベクトルを一緒の方向に向けて闘うから、チームのなかでもポジティブな話のほうが断然多くなってくるんですよ。それが本当に面白い。なにかアクションを起こすにしても、チームのためだったり、勝つためになにをしようかってみんなで考えだすんです。それがまた、カテゴリーごとでぜんぜん違う。おこしやす京都には、その魅力がある。しかも地域リーグは初体験。どうもがきながら、上を目ざすのか。楽しみでしょうがないですよ」

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