長友躍動の背景に、溢れる気迫と中盤の機転…左サイドの活性化で4-3-3の最良バランスが見えてきた?

2022年02月02日 元川悦子

守田、田中の動きで攻守両面のバランスが改善へ

左サイドで追加点に絡む動きも見せた長友。攻守両面で気迫あふれるプレーを見せた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

「右は純也(伊東=ヘンク)ひとりで打開できるし、日本の今の強みになっていますけど、左は拓実(南野=リバプール)がサイドの選手じゃないですし、より中に入ってプレーさせてあげたい。そこでもっと崩したいのは正直なところで、一番は僕自身がもっと躍動しないとダメですよね」
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 先月27日の2022年カタール・ワールドカップ(W杯)最終予選・中国戦(埼玉)を受け、激しい批判に晒されていた長友佑都(FC東京)が反省を含めてこう語っていた通り、日本代表にとって左サイドの活性化は非常に大きな課題となっていた。

 最終予選突入後、伊東がけん引する右サイドは酒井宏樹(浦和)の的確なサポートや中盤とのいい距離感ができ、伊東がゴールやアシストに絡む回数が増えているが、左は停滞感が否めない。昨年11月のオマーン戦(マスカット)前にも長友と南野が深刻そうな様子で話し合う姿が見られたが、ウイングタイプではない南野の良さや特長を生かしつつ、いかにして主導権を握り、結果に結びつけるのか。そこが1日の大一番・サウジアラビア戦(埼玉)の重要テーマと位置づけられた。

 予想通り、相手にボールポゼッションで上回られ、大迫勇也(神戸)が激しく削られるなど、序盤から不穏な空気も漂ったこの試合。「サウジはサイドにいい選手がいますし、サイド攻撃を強みにしているチーム」と指揮官も言うように、開始から20分くらいまでは外で主導権を握られる形も少なくなかった。

 だが、そこで中盤の田中碧(デュッセルドルフ)と守田英正(サンタ・クララ)が効果的な意思疎通で左右をスイッチ。守田が右寄りで伊東をサポートし、田中は南野と長友が高い位置を取った穴を埋めるという形がハマり始めた。

 左サイドに関しては、中国戦で守田が高い位置を取ったことで中寄りの南野と重なり、長友の上がりも引き出せないという「渋滞状態」に陥り、それをどう解決するかがポイントになっていた。こうした経験を踏まえ、守田は「自分がタイミングを見計らって下がろうと思ったけど、自分がちょっと掴めていなかったので、碧に言って変わってもらった」といち早く修正を図った。

 これにより流れが大きく変化。攻守両面のバランスが一気に改善へと向かった。結果として32分の南野の先制点が生まれ、後半にも長友の折り返しを伊東が豪快に蹴り込むというダメ押し点がもたらされた。
 

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