【J1全18クラブ補強査定】最も際立ったのは浦和。成熟路線の川崎を阻む一番手と見られる横浜の不安要素は?

2022年01月24日 河治良幸

浦和は中堅メンバーがもう一皮剥ければ…

マーケットで最も動きが目立った浦和。就任2年目のR・ロドリゲス監督の手腕にも注目だ。写真:田中研治

 各チームが続々とキャンプインするなか、今冬のストーブリーグはどんな動きがあったか。本稿では、J1全18クラブの"イン・アウト"を見て、新シーズンに向けた戦力をチェックする。

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 J1に関して言えば、全体的には大人しい移籍市場だった。コロナ禍でいわゆるビッグディールをまとめる資金力があまり無い実情もあるかもしれないが、継続路線のチームも多く、すでにいる選手を信頼しているというのもあるだろう。

 その中で最も目立ったのは、"3年計画"の3年目でリーグ優勝を掲げる浦和レッズだ。リカルド・ロドリゲス監督が就任して2年目となるが、指揮官は西野努テクニカルダイレクターとクラブのビジョンを共有しており、各ポジションの主力メンバーを残しながらも彼らとポジション争いできるポテンシャルのタレントを加えた。

 不安要素は、阿部勇樹が引退、槙野智章、宇賀神友弥が退団と精神的に浦和を支えてきた選手たちがいなくなったことだが、R・ロドリゲス監督が徳島ヴォルティスを率いた4年間で"ピッチの監督"として主軸を担った岩尾憲の加入でかなり埋まった感はある。

 あとは鹿島アントラーズから加入の犬飼智也、横浜FCから加入の松尾佑介などが期待通りの活躍を見せて、岩波拓也や関根貴大、柴戸海など中堅メンバーがもう一皮剥けると、リーグタイトルの獲得も現実に近付いてくる。
 
 三連覇がかかる川崎フロンターレは、旗手怜央がスコットランドのセルティックに移籍し、長谷川竜也が横浜FCに移籍。彼らと入れ替わるように瀬古樹が横浜FCから、そしてチャナティップが北海道コンサドーレ札幌から加入した。しかし、上位の中でも入れ替わりが限定的で、鬼木達体制の5年目として完全な成熟路線で偉業を目指すことになる。

 ただし、鬼木監督は全く同じ戦い方をしてそのまま優勝できるとは考えておらず、ほぼ同じメンバーでチームをどうアップデートさせていくか。そして新加入の大半を占める大卒、高卒、ユースからの昇格選手らがどこまでハイレベルな競争に食い込んでくるかで、ACLを含めた過密日程での結果を大きく左右しそうだ。

 その川崎の三連覇を阻む一番手と見られる横浜F・マリノスは、昨シーズン得点王の前田大然がセルティック、さらに2019年のJ1優勝メンバーである扇原貴宏がヴィッセル神戸、さらに天野純が韓国の蔚山現代FC、ティーラトンがタイに帰国と大きな放出があった一方で、3年間の武者修行で大きく成長した吉尾海夏が復帰。さらに左サイドバック候補として永戸勝也と小池裕太が、そして中盤にはパリ五輪代表の有望株である藤田譲瑠チマも加わった。

 やや不安なのは、前田の記録した23得点をどうカバーするか。そして昨年後半を怪我で欠場した畠中槙之輔の復帰が待たれるCBの選手層だ。ただ、前線は仙台から加入した西村拓真が新天地での良質なサポートを得て再ブレイクする期待は高く、今シーズンの"ラストピース"になりうる外国人FWの獲得があるかも注目される。
 

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