“冬の選手権”の価値とは? 4年前の決勝で激闘を演じた「前橋育英vs流通経済大柏」当時の主将が語り合う

2022年01月07日 安藤隆人

法政大の田部井涼(横浜FC内定)と流通経済大の宮本優太(浦和レッズ内定)が対談!

試合後は笑顔で健闘を称え合った宮本(手前)と田部井。写真:サッカーダイジェスト

 今から4年前の第96回全国高校サッカー選手権決勝・前橋育英vs流通経済大柏の一戦。前半から激しい一進一退の攻防が続いた試合は、試合終了間際に決着がついた。後半アディショナルタイム2分、前橋育英はゴール前の混戦から飯島陸(法政大→ヴァンフォーレ甲府)のシュートのこぼれ球を、2年生FW榎本樹(松本山雅FC)がゴールに蹴り込み、これが決勝点に。前橋育英が1-0で競り勝ち、初優勝を飾った。

 あの時キャプテンマークを巻いていた2人が、大学を経て、今年からプロの舞台に進むことになった。前橋育英のMF田部井涼は法政大でも高校時代と同じ14番を背負い、攻守の要として活躍。横浜FCでのプレーが決まっている。流経大柏のDF宮本優太は流通経済大に進学し、右サイドバックとしてその才能を開花させ、浦和レッズへの加入が決まっている。

 100回の記念大会を迎えている選手権。あの激闘を彩ったふたりのキャプテンが選手権の思い出と、プロ1年目を迎えるにあたって改めて思う、選手権の価値について語ってくれた。

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――あの選手権決勝の激闘を振り返ってみてください。

宮本優太(以下・宮本):正直、決勝の相手が前橋育英で良かったと思いました。試合が終わった後に、僕は真っ先に涼のところに行って、「涼と、前育とやれて本当によかったよ」って言いました。それは本心で、4年経った今振り返っても、決勝で前橋育英とやれたことは本当に良かったと思うし、あそこで負けたことで何か悔しいことや折れそうな時に、あの決勝のシーンを思い出すことで自分を奮い立たせることができるので、本当にあの決勝は自分の人生の中でも大きな経験になりました。

田部井涼(以下・田部井):僕は日本一になれた瞬間だったので、ずっと選手権を夢見ていて、前橋育英に入って本気で優勝を目指すようになって、そこから最高の仲間と最後の学年で目標を達成できたことはもう感無量でした。あの優勝の瞬間やロイヤルボックスで優勝旗を掲げた記憶は今でも鮮明に残っていて、もう一度あの感覚を味わいたいからこそ、うまくいかない時とか立ち返られる場所ですね。

宮本:俺の言った言葉覚えている?

田部井:いや、覚えていないです(笑)。

宮本:マジか!

田部井:何を言われたのかは全然覚えていませんが、何か試合後に優太が長文で話しかけてきてくれたことは覚えています。

宮本:それだけ優勝の喜びで頭が真っ白だったんだね。

田部井:そう、もうどんな言葉で表わして良いのか分からないくらいフワフワしていたというか、真っ白というか。全然冷静にはいられませんでした。
 

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