わずか半年で3部からバルサへ。怖いもの知らずの20歳ドリブラー、アブデの知られざるキャリア【現地発】

2022年01月07日 エル・パイス紙

「僕を獲得したのは間違いではないといずれ分かるよ」

今季から加入したアブデはシャビ監督の就任とともに出番を増やしている。(C)Getty Images

 アブデ・エザルズーリは、ストリートというよりもバリオ(下町)出身の選手だ。7歳の時に両親と兄弟2人と一緒に北アフリカから移住したエルチェの貧困地区で育った。プレースタイルはまさに古典的なウインガー。ボールを前に出し相手が反応した瞬間に足を持ち換えて、気が付いた頃にはすでに置き去りにしている。

 アブデは昨夏、エルクレスからバルセロナに移籍した。レアル・マドリー、レバンテ、ベティスからもオファーが舞い込む中での選択だった。もっとも、クラブ間交渉はなかなか金銭面で折り合いがつかず、気を揉む日々が続いた。

 エルクレスに3度にわたってオファーを拒否されたバルサは、移籍期限最終日にイライシュ・モリバをライプツィヒに1600万ユーロ(約20億円)で売却。そこで得た資金を元手に契約解除違約金に設定されていた200万ユーロ(約2億5000万円)を支払うことで入団が決定した。

【動画】鮮やかボレー炸裂!新鋭アブデが決めたバルサ初ゴールをチェック
 言うまでもなくバルサは深刻な資金難に陥っている。そんな中、昨シーズン後半戦の2部B(実質3部)における活躍がほぼトップチームでのキャリアに限定される選手に200万ユーロを投資することにクラブ内では反対の声も上がったが、最終的に上層部がゴーサインを出した。

 その最中における出来事だ。当時の強化技術部長のラモン・プラネスは「決して簡単ではないぞ。優秀な選手がたくさんいて、ポジションは限られている…」とバルサでプレーすることの難しさを説こうとした。しかしその説明が終わる前に、アブデは「僕を獲得したのは間違いではないといずれ分かるよ」と言い返したという。

 アブデが本格的にサッカーを始めたのはエルチェの移住先、カルス地区にあるペーニャ・ラバルというクラブだ。その最初の指導者だったラウール・ロドリゲスによると、当時も今と同様に常にこれが最後という執念で球際のバトルを見せるなど、人一倍の負けず嫌いだったという。大きく変わったのがプレー強度で、「フィジカル面の成長には目を見張るものがある」と感心する。

【PHOTO】「美人すぎる」、「セクシーすぎる」フットボーラーの妻&恋人たち

次ページ「トップチームで100試合プレーしたような振る舞いをする」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事