悔いを残した4年前の選手権優勝を糧に… 駒澤大の前橋育英出身コンビが攻守に輝き、14年ぶりの王座奪還に貢献

2021年12月26日 安藤隆人

2017年度の前橋育英優勝メンバーのふたりが大学でも日本一の称号を手にしたが――

駒澤大が阪南大を逆転で下し、14大会ぶり7回目の優勝を飾った。写真:徳原隆元

 インカレ決勝は駒澤大が阪南大を3-2で振り切って、2006年以来となる14大会ぶり7回目の優勝を手にした。

 この試合で1-2からの貴重な同点ゴールを挙げたのは栃木SC内定のFW宮﨑鴻だった。58分に右CKを得ると、サガン鳥栖内定のMF荒木駿太のキックを高い打点のヘッドで合わせて、ゴールに叩き込んだ。そして守ってはミス絡みの2失点こそ喫したが、的確なコーチングと強烈なキックで攻撃の起点にもなったGK松本瞬も大きな存在感を放ち、優勝に貢献した。

【インカレ決勝 PHOTO】阪南大 2-3 駒澤大|駒澤が逆転で14大会ぶり7度目の冬の王者に!
 この2人はともに前橋育英高出身。彼らが高3の時、同校は2017年度の第96回高校選手権で初優勝を果たしており、2人は高校に続いて大学でも最後の大会で日本一の称号を手にすることができた。だが、今回の優勝はこの2人にとっては途轍もなく大きな意味を持っていた。

「選手権での僕は常に途中交代の選手でした。1試合もスタメンで出られなくて、『優勝に貢献できたか?』と聞かれると疑問があったし、悔しさがあった」(宮﨑)
「僕も初戦で数分間出ただけで、あとはずっとベンチで最後まで見ていた。優勝に貢献したとは思えませんでした」(松本)

 宮﨑は夏前までレギュラーだったが、夏のインターハイで当時2年生FWだった榎本樹(松本山雅FC)が一気に台頭して得点王を取ったことで立場は一変。スタメンに定着した榎本に対し、宮﨑は終盤のパワープレーの際に投入されることが増えた。選手権でも5試合すべてに途中出場を果たしたが、このうち3試合が榎本との交代で、決勝では榎本が決勝ゴールを決めてヒーローになった。

 松本も春先こそレギュラーを掴んでいたが、ライバルの湯沢拓也(立正大)に守護神の座を奪われると、選手権も初戦の初芝橋本戦で5-0になってからの残り3分出場をしたのみで終わった。

 ともに日本一のチームの一員ではあったが、その原動力にはなれなかった悔しさを抱えた状態で駒澤大にやってきた。そして2人とも4年になってレギュラーを掴み、ついに主軸として全国大会に挑めるチャンスを掴むことができた。
 

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