好調AZで際立つ菅原由勢の“マルチぶり”。1試合で4ポジションをこなしてオランダ人記者が称賛も、「物足りない」と語る理由【現地発】

2021年12月23日 中田徹

「今年の終わり方としては、すごく悔しい」

ここまで公式戦全試合に出場している菅原。(C)Getty Images

「12月はAZの月だった」というフレーズが、オランダのメディアに載っていた。

 12月2日のフォルトゥナ・シッタルト戦を皮切りに、21日のフローニンへン戦まで、AZは公式戦7試合をこなす超過密日程を、見事に全勝で乗り切ったのだ。なかでも、敵地ヨハン・クライフ・アレーナでアヤックスを2-1で下した試合は称賛された。
【動画】「俺のアシストです!」と菅原が主張したアヤックス戦の先制ゴール

 11月末時点で12位に沈んでいたチームは一気に5位に浮上し、いいムードでウインターブレークに入った。全てがフォローの風に乗っている――。今のAZを見ると、そう思わずにいられない。しかし、今年最後のフローニンへン戦を1‐0で勝った直後の菅原由勢は、それほど喜びを顕にすることもなく、真っ先に更衣室に引き上げていった。 
 
 しばらくして、インタビューエリアに姿を表した菅原に、「どこか納得いかない表情をしているが」と訊いた。

「いやぁ、点を獲りたかったですよ……。アシストもそう」

 実は、フローニンへン戦では、菅原の「幻のゴール」があった。10分、イェスパー・カールソンの上げた左からのクロスを、菅原がファーサイドで鮮やかなボレーシュートをゴールネットに突き刺した。一度はゴールが認められたが、味方がオフサイドポジションにいたため、VARの検証によって取り消されてしまった。その後も菅原は積極的にシュートを打ったり、質の高いクロスボールを蹴ったりしたが、それが得点につながることはなかった。

「自分で言うのもなんですけれど、『ビッチ上でチームの7連勝に貢献している』という言い方はできるかもしれない。でも、やっぱり僕自身、攻撃に特徴のある選手だと思っているので、自分が生き残っていくためにはゴールとかアシストとかを(個人成績として)付けなきゃいけない。そのことが、自分の価値を高めてくれるものなので……。10連戦(公式戦3分け後7連勝)した中で、ちょっと物足りなさがある。今年の終わり方としては、すごく悔しいですね」

 右サイドバックが本職の菅原だが、12月に入ってから右ウイングや右ウイングバックとしてチーム内で重宝されている。フローニンへン戦では右ウイングバック→右ウイング→右サイドバック→左サイドバックと目まぐるしくポジションを変える多機能ぶりも見せつけた。

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