初のJFL・地域リーグ入れ替え戦に臨むクリアソン新宿 強さの秘密は途切れない「声」にあり

2021年12月17日 佐藤亮太

地域CL決勝初戦は「とにかく叫んで、テンション高くできた」

FC徳島戦で同点ゴールを決めた大谷が喜びを爆発させる。写真提供:クリアソン新宿

 関東リーグ1部での勢いそのままに勝ち上がった全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2021(以下・地域CL)決勝ラウンドで優勝。初めてのJFL・地域リーグ入れ替え戦に臨むCriacao Shinjuku(クリアソン新宿)。

 2026年、世界一のクラブを目指すチームにはFW岡本達也、GK岩舘直らJリーグでの経験がある選手が多く、陣容はこのカテゴリーでは群を抜いていた。
 
 ただ、それだけで勝てるほどサッカーは甘くない。クリアソン新宿、強さの秘密のひとつに声がある。

 練習中、試合前のウォームアップ、試合中も声は途切れない。内容は指示だけでない。「OK!」「ナイスプレー!」と前向きな声とともに「大丈夫」「ここ乗り越えよう」「踏ん張ろう」「行こう!行こう!」と励ましの声も。とにかく、ひっきりなしに聞こえる。

「試合に出る選手もベンチの選手もベンチ外の選手も関係なく、みんな盛り上げてくれる。アップのときは対戦相手が引くくらいに、高体連のノリでやっている(笑)」と言うのは、徳島でプレー経験のある主将DF井筒陸也だ。

 地域CL決勝ラウンド初戦・おこしやす京都AC戦を振り返り、井筒は「前半はどうしても硬くなるので、みんなで大きな声を出して走って戦おうと話しあった。声を出すことはクオリティに関係ないので、とにかく叫んで、テンション高くできた」と効能を語った。

 また声の大切さを体感した選手がいる。

 地域CL決勝ラウンド第3戦・FC徳島戦で逆転ゴールを決めたDF瀬川和樹。

 瀬川は2013年国士舘大学から群馬に加入。その後、山形、山口を経て、2019年7月、栃木に加入した。

 その際、クラブから残留争いにあったチームを「変えて欲しい」と要望を受けた。元来、黙々とプレーするタイプの瀬川だったが、その自分を変えると決心。不慣れながら、繰り返し、声を出し続けたことでチームの変化を感じた。

「声で発信することも大事だけど、それ以上に大事なのは周りが声に反応すること。声を出してもつながらなければ意味はない。意識的に声に反応していくことでチームはつながっていく。栃木ではそうした体験をした。いまのチームは当たり前のようにできている。時に楽しみながら、時に少しふざけながら、メリハリをつけてやっている」
 

次ページ「仲間の良い表情を見て、声をかけながらのほうが間違いなく、力は発揮できる」

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