使命感、悔しさ、サッカーへの純粋な想い…相模原のキャプテン鎌田次郎の生き様

2021年11月28日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「いつか来るだろうと、準備はしていました」

40節・愛媛戦で久々の先発出場を果たした鎌田。的確なコーチングや熟練のディフェンスでチームの勝利に貢献した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 来るべき時に備えて、SC相模原の鎌田次郎は準備をしていた。

 今季、柏レイソルから期限付き移籍で加入。キャプテンを任された36歳のベテランDFは主力メンバーのひとりとして奮闘していたが、シーズン途中の監督交代を機に、出場機会を失っていった。

「なかなか試合に出られず、チームに貢献できていないという思いがあった」

 難しい時期を過ごしていた。だが、気持ちは切らさなかった。使命感、悔しさ、サッカーへの純粋な想い。様々な感情があった。

「僕も長くプロでサッカーをやらしてもらっていますけど、監督によって出られる、出られないというのはありますし、そこでくさっていく選手とか、ちゃんとやらない選手は、活躍できなくなっていくのを見てきました」

 反面教師となる対象がいれば、見習うべき先達がいた。

「レイソルでは南雄太(現・大宮)さんとか、仙台時代には梁(勇基/現・鳥栖)さんとか。他にもたくさんいますけど、真面目にやり続ける選手たちを見てきているので。

 そういうものを、自分も後輩たちに示していかなければいけないと思う。キャプテンをやらせてもらっている自分が、さじを投げるとか、不貞腐れた態度やプレーは見せられない」

 たとえば、ゲーム形式のメニューでサブ組に入ったとする。そこで鎌田は何をしてきたか。「チームが次、勝つために、対戦相手のプレーの特長を真似してみよう、とか。それの連続、毎日ですよね」。

 もちろん、試合に絡めず、「なにくそ、っていうプライドもありました」。悔しがるだけでは、状況は変わらない。「やっぱり準備し続けないと、試合には出られない。いつか来るだろうと、準備はしていました」と振り返る。
 
 なによりも、好きなサッカーをいいかげんな気持ちでやりたくなかった。

「サッカーが好きっていうのが、みんな根底にあると思う。それを、ふざけてやっていたら、サッカーを好きではないと思うし、好きがゆえに、ちゃんとやらないといけない。それでお金をもらっているので。自分が楽しむためには、ちゃんとやらないといけない」

 真摯にサッカーと向き合い、チームのために振る舞う鎌田の姿を、高木琢也監督が見ていないわけがない。指揮官はことあるごとに、ベテラン選手たちについて言及してきた。

「ベテランの選手、出られていない選手も、しっかりといろんなことを伝えている。チームのために、よくやってくれている」

「幸い、ベテランの選手が多いから。残留争いを経験していないとしても、今までの流れはよく分かっているし、経験者の力は、他チームよりはあるんじゃないかと」
 

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