W杯出場へ残り4戦の焦点|何のための「1チーム2カテゴリー」なのか。サウジ戦では遠藤航を温存、敵地・豪州戦に照準

2021年11月24日 浅田真樹

世界8強を狙うなら、監督交代は残しておくべき選択肢

ここまで盛り返せば、最終予選突破は問題ない。だが、森保監督でいいかどうかは別の話だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 滑りやすい革靴を履いてきてしまい、小さな水たまりにも足を取られてあたふたしている。

 現在の日本代表を見ていると、そんな印象を受ける。

 新たな道を前向きに進んだ結果、ぬかるみに足を取られるのならまだしも、むしろ無難な道を選択しているはずなのに、この有様だからタチが悪い。今回の最終予選初戦でオマーンに敗れたとき、前回の最終予選でも初戦でUAEに敗れたことが引き合いに出されていたが、当時のUAEと今回のオマーンとでは実力的な立場がまったく異なる。

 前回のUAEはタレントが揃っていたうえにチームとしても力があり、ワールドカップを"ワンチャン狙える"位置にいたが、今回のオマーンはそうではない。

 一般論としてアジア全体のレベルが上がっていることは認めるが、今回のグループBに関して言えば、3強3弱。それを考えれば、オマーンに引き分けまではやむなしとしても、敗戦は明らかな日本の失態だった。

 初戦に限らず、今回の最終予選全般に言えることだが、日本が勝手にぬかるみに足を突っ込んでいる感は否めない。試合ごとの戦略や選手起用といった森保一監督の采配には疑問、というより不安を感じる点が数多い。その印象は東京五輪を含めて振り返ると、なお一層強まる。
 
 コンパクトな布陣で攻守を繰り返すとか、そのなかで高いプレー強度を保つとか、サッカーのベースとなる部分は段階的に高まっているのだろうが、それをどう試合に落とし込み、勝つ確率を高めるのか。その点においては、どうにも心もとない。

 ここまで盛り返せば、最終予選突破は問題ない。しかし、森保監督でいいかどうかは、それとは別の話だ。ワールドカップでのベスト8進出を本気で狙うつもりなら、監督交代は残しておくべき選択肢だろう。

 とにもかくにも、年が明ければ次の試合はやってくる。次戦はホームの中国戦(1/27)だが、国内組にとってはオフ明け間もない、厄介なタイミングでの試合となる。

 普通に考えれば、シーズン真っ只中の海外組のほうがコンディションは上だろう。ただし、海外組には長距離移動と時差があるうえ、準備期間の短さゆえの2連戦初戦の難しさは、すでに証明されている。
 

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