勝点6差で6チームがひしめく残留争い! 逆転のシナリオは飛び出すか? 注目は16位清水と17位徳島のマッチレース

2021年11月14日 加部 究

J1に残れたとしても、来年も同じ立ち位置で苦悩している可能性が…

残留争いの行方は? 逆転のシナリオが飛び出すとすれば、清水と徳島の関係に絞られそうだ。(C)SOCCER DIGEST

 今季のJ1リーグも残り3試合。勝点6差で6チームがひしめく残留争いも、いよいよ決着のときが近づいてきた。本稿では、スポーツライターの加部究氏に、クラブの現状や今後の対戦カードなどを踏まえ、熾烈なサバイバルの行方を占ってもらった。

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 コロナ禍の影響により今年は20チーム構成で4チームが降格することになったJ1だが、長丁場で日程が過密化したこともあり、戦力差が如実に表われた印象だ。

 例えば昨年の大分は明確な哲学を持ち、チームをけん引した片野坂知宏監督の采配が光り11位と健闘を見せたが、さすがに岩田智輝、鈴木義宣、田中達也、小塚和季、渡大生ら主力が軒並み引き抜かれ、持ちこたえるのが難しかった。

 結局3試合を残す現時点で、依然として降格の危機に直面している6チームのうち、大分と昇格組である徳島以外の4クラブは昨年も下位4チームに入っている。つまり総合的に判断して、安定的にJ1で戦い続けるのは厳しいチームが、残留の当落線上を競っていることになる。

 大混戦が続いてきたJリーグも黎明期を脱出しつつあるのか序列化が進んでおり、選手を引き抜いていく側に回らないと上位戦線に顔を出すのは難しくなってきた。残念ながら現在残留争いを続けているクラブは、今年J1に残れたとしても相当抜本的な改革を図らない限り、来年も同じ立ち位置で苦悩している可能性が高い。
 
 降格争いは6チームで繰り広げられているが、ほぼ帰趨(きすう)は判明しつつある。勝点33で並ぶ15位の湘南と16位の清水は、早ければ次節にもライバル4チームを振り落としてしまう可能性もある。19位の仙台と20位の横浜FCは、湘南と清水には勝点6の差をつけられており、すでにいずれも剣が峰にある。

 仙台は次節ホームで湘南との直接対決になるが、引き分け以下ならそこでJ2降格が決まってしまう。また現在最下位の横浜FCは、さらに足もとが寒い。次節は、直近5試合負けがなく3位につけている神戸をホームに迎える。次々に大物を補強してきた神戸にはACLの出場権も懸かり、モチベーションも戦力も万全だ。

 開幕から6連敗を喫するなど大きく出遅れた横浜FCは、夏場に東京五輪のドイツ代表メンバーに入ったGKズベンド・ブローダーセンや、新たな得点源としてサウロ・ミネイロらを補強。最近は徳島に5-3で快勝し、鳥栖や福岡に引き分けるなど良化の兆しは見えるが、遅きに失した感は否めない。
 

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