4-3-3も万能にあらず。ベトナム戦で日本の攻撃リズムが弾けなかった理由とは?【コラム】

2021年11月13日 河治良幸

指揮官は選手たちの適応力を称賛したが…

決勝点をマークし勝利の立役者となった伊東。南野からのクロスを確実に押し込んだ。(C)Getty Images

[カタール・ワールドカップ・アジア最終予選]日本 1-0 ベトナム/11月11日/ミーディン国立競技場

 とにかくアウェーでベトナムに勝利した。勝点3を獲得した事実を素直に評価したい一方で、内容的には大いに疑問が残るものとなった。

 そして内容以上に不安なのが、最終予選の折り返しとなる試合で新たな戦力を全く試せなかったこと。1つの負けが命取りになる最終予選はメンバーを固定しがちだが、今回は欧州組が長距離移動、しかも給油のトラブルで11人が10時間のタイムロスを強いられた。

 そうした状況でも森保一監督は「遅れて合流してきた11人の顔を見た時に、すごくみんな良い顔をしていて、疲れた様子があまり見受けられなかった」と語り、難しい環境下での適応力を称賛した。

 しかし、そうしたメンバーのコンディションが、日本から先乗りしていたメンバーのそれを上回ることは考えられない。結局、怪我で別メニュー調整の酒井宏樹が山根視来に代わった以外、前節のオーストラリア戦から同じスタメンで臨むこととなった。

 システムも前回と同じ4-3-3だが、ベトナム対策というよりはオーストラリア戦で良い感触を得た形と布陣をそのままぶつけたにすぎない。2年前のアジアカップで苦戦した相手といっても、元々の力関係を見れば、まず自分たちに矢印を向けてチーム力を発揮させるほうが良い結果を得やすいという判断だろう。
 
 それはそれで代表監督の判断だが、実際は攻守にバランスを欠き、いくつかのシーンでアクシデントが起こりうるスリリングなゲームとなった。

 その中で、日本が17分に挙げたゴールは、相手GKのキックを冨安健洋がヘッドでクリアしたところから、中盤の前目に出た遠藤航が大迫勇也につなぎ、左から抜け出した南野拓実のショートクロスに伊東純也が走り込んで合わせるというシンプルな形だった。

「カウンター気味で、拓実がうまく裏に抜けたので、とにかく相手の前に入って、速いボールが欲しいと思ったら、ちょうど拓実から良いボールが来たので、あとは押し込むだけでした」(伊東)
 

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