「シャビは焦っていた」番記者が明かすバルサ監督就任の舞台裏。クーマン解任は思惑通り、なぜ契約解除問題はこじれたのか【現地発】

2021年11月09日 ファン・ヒメネス(スペイン『AS』紙記者)

なぜここまで事態が複雑化したのか

ついにバルサの監督に就任したシャビ。だが、その過程は一筋縄にはいかなかった。(C)Getty Images

 シャビがついにバルセロナの監督に就任した。

 本来であれば、レジェンドの帰還をもろ手を挙げて歓迎しなければならないところだ。しかし、アル・サッドとの引き抜き交渉は難航し、そのほつれた糸をほどくために本人が介入しなければならなかった。

 最大の焦点となったのが契約解除に伴う違約金の支払いだ。最終的にクラブ間合意に達したが、バルサもアル・サッドも現時点で金額を公表していない。スペインではシャビの側近が明らかにした500万ユーロ(約6億2500万円)という数字がそのまま独り歩きしている格好になっているが、カタールではここ数日、その額は1000万ユーロ(約13億5000万円)に達すると報じられている。さらに両チーム同士のカタールでの親善試合の開催やアル・サッドのジョアン・ガンペール杯への招待などのプランが浮上するなど、情報は今なお錯綜している。

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 では、なぜここまで事態が複雑化したのか。その背景を理解するには、2020年1月まで時計の針を戻す必要がある。シャビは2015年6月にバルサを退団した後、アル・サッドに加入した。現役生活を終えるまでの数年間を過ごすとともに、監督としてのバルサ復帰を見据え、その準備を進めるためだ。

 そして2019年5月に現役を引退した後、その青写真通りに監督に転身した。さらにそれから約半年後、つまり2020年1月にスポーツディレクターのエリック・アビダルをはじめとしたバルサの関係者がドーハを訪問した。目的は解任したエルネスト・バルベルデの後任監督としての就任を要請するものだった。

 しかし、シャビは数日間の話し合いを経てその打診を断った。監督としての経験が浅かったこと、その状態でリオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ジェラール・ピケらかつてのチームメイトを指導することへの遠慮があったこと、テクニカル・メディカルスタッフの刷新の提案を受け入れられなかったことなど理由はいくつかあった。しかしシャビが時期尚早と考えた背後には、ある人物の存在があった。

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