必見・必読!! 現地取材ライターが選定するチリ発「コパ・アメリカ10大出来事」

2015年07月04日 熊崎敬

開催国の品格を示すための「美しい緑」のアイデアは大成功!! 

こちらは太平洋側。アンデス側と比べてどちらのランクが上というのはないようだ。 写真:熊崎 敬

 いろいろあったコパ・アメリカも今日で終わり。せっかくなので、ピッチ内外のニュースや発見を集めてみた。
 
◇10位 スタジアムに「アンデス」と「太平洋」がある
 
 細長い国チリでは、どこに行っても東にアンデス山脈がそびえ、西に太平洋が広がっている。
 
 そのためスタジアムには、「アンデス・スタンド」と「パシフィック・スタンド」があるのがお約束。コパが開催されない田舎町のぼろスタジアムにも足を運んだが、この「規則」はしっかりと守られていた。
 
◇9位 グリーンカードは効果抜群!!
 
 チリとエクアドルが対戦した開幕戦、ナショナル・スタジアムの観客席に見慣れない「緑のカード」が置かれていた。そこには次のような文句が……。
 
「アメリカはひとつ。兄弟たちの国歌が流れる間は、このカードを掲げましょう」
 
 世界が見守るコパだけに、チリは開催国に相応しい品格を示そうとしたのだ。
 
 チリがナショナル・スタジアムで戦うたびに用意された、このカードは効果てきめん!! ファンは嬉しそうにカードを掲げ、ブーイングが出ることはほとんどなかった。
 
 真っ赤なスタジアムが、敵国の国歌の間だけグリーンに染まる光景は壮観。国歌が終わるとともにカードが宙を舞うのがお約束となった。

◇8位 野球よりビノ・ティント?
 
 スペイン語で赤ワインを意味するビノ・ティントは、ベネズエラ代表の愛称。野球の国というイメージが強かったが、初のベスト4進出を果たした前回大会でサッカー人気が沸騰。今大会は地元チリ人も驚くほど、多くのベネズエラ人がスタジアムに駆けつけた。
 
 彼らが叫ぶ「ビノ・ティント!」の掛け声は徐々に浸透。ベスト8進出はならなかったが、強豪コロンビアを破るサプライズを起こした。ビノ・ティントの色をした独特のユニホームは、確実に少年たちの憧れになりつつある。

◇7位 南米サッカー連盟財政危機
 
 大会中、新聞でCONMEBOL(南米サッカー連盟)の財政危機を指摘するベタ記事を見つけた。
 
コパの賞金が払えないかもしれないと書かれていたが、これはほとんど話題にならなかった。おそらく選手たちのプレーに影響することもなかっただろう。仮に賞金が出なくても、南米の選手は意地とプライドを懸けて必死で戦うからだ。
 
 この大陸では、支払いが遅れる、または支払いがないということも珍しくない。そう考えれば、南米サッカー連盟が財政問題を抱えているのは、むしろ当然とさえ思えてくる。
 
◇6位 大統領は勝利の女神?
 
 欧州では、ドイツのメルケル首相がサッカー好きで知られるが、南米ではバチェレ。メルケルによく似たチリの女性大統領は、代表チームの全試合をスタジアムで観戦。チームが勝ち続けるにつれて「勝利の女神か?」との声が挙がり始めた。
 
黒いジャケットの下に赤のユニホーム、首には赤いマフラーといういでたちは、「幸運のファッション」などともてはやされた。
 
 コパの最中、教師によるストライキが深刻化し、「応援してる場合か」との声も一部では挙がったが、サッカーに首ったけの南米では、代表チームが勝利する熱狂の現場に顔を出す方が支持率アップに繋がるのかもしれない。

次ページ上位は開催国チリが独占!! ビダル、ハラ…ネタには事欠かず。

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