4年前との“違い”が生んだ敗戦劇…それでも小菊セレッソの航海は始まったばかり

2021年10月30日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

柿谷と木本は敵として相まみえることになった

キャプテンの清武もチームを勝利に導けず。試合後には悔しさを滲ませた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 セレッソ大阪は10月30日、ルヴァンカップ決勝で名古屋グランパスに0-2で敗戦。17年シーズン以来2度目の優勝は惜しくも果たせなかった。

「準優勝というものはやはり味わいたくないものだと思います。結局決勝まで来てこういう結果になるのは、サッカー人生でも一番悔しい」

 試合後に清武弘嗣はそう言って肩を落とした。

 清武にとっても4年ぶりのタイトルが懸かった一戦だったが、当時とチームは大きく変わっていた。当時のレギュラーで残っているのは、清武の他、GKのキム・ジンヒョン、両SBの松田陸、丸橋祐介という4人のみ。

 MVPを獲得したFWの杉本健勇(現・横浜)をはじめ、中盤の大黒柱だった山口蛍(現・神戸)は籍を移し、助っ人のソウザ(現アル・イテファク)とマテイ・ヨニッチ(現・上海申花)も今はいない。そして、キャプテンで伝統の8番をつけていた柿谷曜一朗、17年大会で一躍名を揚げた木本恭生は、今度は敵として相まみえることになった。

 フロントの体制も大熊清氏から梶野智氏に強化部長の任が引き継がれ、2018年にはチームのレジェンドである森島寛晃氏が代表取締役社長となった。

 一方で、昨年加入した坂元達裕や今年加わった加藤陸次樹が攻撃の牽引車となり、大久保嘉人という頼れるベテランがカムバックした。また山田寛人や西尾隆矢というユース育ちの若手が台頭。4年前に16歳で2種登録されていた瀬古歩夢は気づけば21歳となり、ディフェンスラインの中核を担うまでになった。
 
 生まれ変わったチームにとって、この名古屋戦は、新たな歴史の1ページを刻むべく挑んだ決勝だった。しかし結果的に、新しい歴史を作ったのは、リーグカップ初優勝を果たした名古屋のほうだった。

 もちろん敗因は一概に挙げることはできない。

 試合内容を見ても、反省点は枚挙に暇がない。乾、清武、坂元という自慢の2列目は最後まで厳しいマークに苦しみ、ブロックを崩し切れず、また一瞬の隙を突かれたセットプレーの対応も痛恨だった。

「両チームとも先制点が大事だったなかで、後半の立ち上がりに点を取られたのは、もったいなかった」(清武)

「前半に点を取れるくらいの勢いを持って試合に入るべきだった」(乾)

「失点をしたあとに完全にブロックを作られて、そこからどう崩すか話しながらやっていたけど、ゴールにつながらなかった」(坂元)
 

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