森保ジャパンと列強国の現在地――遥か先を行くフランス、ドイツ、南米二強…日本は最適解に辿り着くのか?

2021年10月27日 河治良幸

欧州随一のタレント力を備えるフランスのような国も模索しながら戦っている

苦境に立たされている森保ジャパン。豪州戦の勝利が転機となるか。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 最終予選で苦戦の森保ジャパン。チーム作りも戦術的な立ち位置も"世界"に遅れを取っていると言わざるを得ない。

 現在アジア最終予選を戦っている日本代表は10月、11月の4試合が終わって2勝2敗の勝点6。オーストラリア戦の勝利で少し明るい兆しも見えたが、サウジアラビアが勝点12、オーストラリアが同9、オマーンが日本と同勝点ながら得失点差で3位となっており、予選突破に予断を許さない状況だ。もちろん日本の大目標はワールドカップに出ることではなく本大会でベスト8以上に躍進することだが、まずはアジアの戦いに苦しんでいる現状から認識する必要がある。

 そのうえで、世界の列強国との"差"を確認していきたい。
 
 欧州ではネーションズリーグ決勝が10月11日に行なわれ、フランスがスペインを2-1で破って優勝を飾った。EUROのベスト16でスイスにPK戦負けを喫して、早期敗退したフランスはディディエ・デシャン監督の立場も危うくなるかに見えた。しかし、ベルギーとの準決勝とスペインとの決勝ではシステムを3-4-1-2に変更してアントワーヌ・グリエーズマンを一列下げることで、カリム・ベンゼマ、キリアン・エムバペとの共存関係を改善した。

 またベルギーやスペインに対して、アウトサイドのパバールとテオ・エルナンデズが柔軟に上下動することで、3バックやボランチと上手くハーフスペースを埋めて、流動的なスペインの攻撃を封じた。しかしながら9月に行なわれたワールドカップ予選のウクライナ戦ではエムバペが欠場、ベンゼマがベンチスタートとなるなかで、グリエーズマン、アントニー・マルシアル、キングスレー・コマンを3トップに並べる4-3-3を採用した。

 その流れからも3-4-1-2はベンゼマ、エムバペ、グリエーズマンを共存させるソリューションではあるが、今後フランスが一貫してこのシステムを使っていくことも考えにくい。現在、欧州随一のタレント力を備えるフランスのような国も模索しながら来年のワールドカップに向けて、強度の高い公式戦を重ねながら強化を進めている。そのフランスはワールドカップの欧州予選でD組の首位を走り、残る2試合で勝点1でも獲得すれば予選突破が決まる状況にある。
 

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