「ロナウドやメッシが来るんじゃないかと…」サウジ資本が買収したニューカッスルが、一夜にして“嫌われ者”になった理由【英国人記者の目】

2021年10月27日 スティーブ・マッケンジー

「親しみやすいクラブ」だったが…

ニューカッスルのサポーターは熱狂的なことで知られているが…。(C)Getty Images

 ロンドンで育った私が子供の頃、サッカーファンの友人たちは皆、いくつかのスタジアムにアウェーファンとして行きたがっていた。

 当時、最も成功していたチームはマンチェスター・ユナイテッドとリバプール。誰もが、この2チームのスタジアムに行きたがった。そして、強豪ではないにもかかわらず、皆が一度は見に行きたいと思っていたチームがもうひとつあった。それが、セント・ジェームズ・パークを本拠地とするニューカッスル・ユナイテッドだ。

 当時から、ニューカッスルのファンはとても情熱的だと評判だった。イングランドのほとんどの都市には複数のサッカーチームが存在し、ファンはどのチームを応援するかを選べる環境にある。だが、ニューカッスルの町にはチームが1つしかなかったので、誰もがパグパイズのファンになった。

 ロンドンに住む私たちにとって、イングランドの北部に位置しているニューカッスルは、とても遠い場所にあるようにも感じられていた。いざ向かうとすれば、旅に出るようなものだ。
 
 中立のファンにとっても、ニューカッスルというクラブは愛すべき存在だった。なぜなら、ファンのクラブに対する情熱がとてもピュアだからだ。そして、ビッグクラブでも強豪でもなかったので、より親近感や好感を抱きやすかったのだ。

 しかし先週、ニューカッスル・ユナイテッドは、サウジアラビアのコンソーシアムに買収されたことが発表された。

 そのため、彼らは親しみやすく好感の持てるクラブから、一夜にして"嫌われ者"へと変貌してしまった。なぜなら、サウジアラビアの人権軽視問題などを横に置いておいて、巨額の投資に飛びついたからだ。
 

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