印象に残るコロナ禍対応… 首位陥落の危機も、川崎が持ち直せた最大の要因は鬼木監督のマネジメント力にあり!

2021年10月22日 江藤高志

序盤から強さを誇るもウズベキスタン遠征後に失速… 移籍、故障者で離脱者が続出

夏場には初黒星や得点力の低下など、正念場も迎えた川崎。鬼木監督の力量が試された。(C) SOCCER DIGEST

 2021年シーズンのリーグ序盤から強さを示していた川崎は、ACLのウズベキスタン遠征後(6月19日~7月12日)に失速する。同遠征前の川崎は、6月2日に行なわれた横浜FC戦までのリーグ戦21試合で17勝4分け無敗。51得点・16失点という圧倒的な成績を残していた。1試合平均では2.43得点・0.76失点だ。

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 ところが、その川崎の強さを裏付けていた主軸の2選手が相次いで移籍する。A代表にもその名前を連ねている田中碧はウズベキスタン遠征直前にチームを離脱。また三笘薫も東京五輪終了後に移籍がまとまり、チームを離れている。この主力2選手の移籍による戦力ダウンに加え、ウズベキスタン遠征による肉体的な疲労、帰国後の隔離生活による精神的な疲労の両方が大きく影響しており、それに伴い複数のケガ人が続いたことも響いた。

 強さを誇った川崎はウズベキスタン遠征後に失速。帰国後の初戦となる7月17日の清水戦を皮切りに浦和とのルヴァンカップ準々決勝2連戦(9月5日)まで、公式戦10試合で苦戦を強いられ、リーグ戦のみの成績では6戦して3勝2分け1敗。この間公式戦33試合目で今季初めて無得点に終わった0-0の柏戦や、0-1で今季初黒星の福岡戦と結果を出せなかった。

 理由は得点力の低下だ。遠征から帰国後のリーグ6試合で7得点・2失点。1試合あたりでは1.17得点・0.33失点という数字になる。なお天皇杯はPK戦勝利を含め2連勝しているが、ルヴァンカップは2引き分けながら浦和に屈し、タイトルを一つ失ってしまった。

 さらに川崎の重荷となったのが、東京五輪の影響で、等々力陸上競技場が長期間使えなくなってしまっていたという点。5月30日に鹿島を相手に等々力でリーグ戦を戦ったあと、等々力で再びリーグ戦を開催したのは9月26日の湘南戦。この間リーグ戦はウズベキスタン遠征後の7月17日の清水戦を皮切りに9試合連続でアウェー戦となった。

 今季もっともフロンターレが苦しんだこのウズベキスタン遠征後、蔚山遠征前までの公式戦10試合を1敗で乗り切れた複数の要因は、結局のところ鬼木監督のチームマネジメント力に収斂すると、筆者は考えている。
 

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