10番も背負う中井卓大はマドリーB昇格という狭き門を突破できるのか。番記者に訊いた“リアル評”「必ずしも歓迎できない状況だ」

2021年10月18日 セルヒオ・サントス

なぜ常時先発出場できないのか?

先日はUEFAユースリーグで欧州デビューを飾った中井。ここまでは順調なキャリアを歩んでいるが…。(C)Mutsu FOTOGRAFIA

 ナカイ(中井卓大)に最近、2つの重要な出来事が起きた。1つ目は、UEFAユースリーグのシェリフ戦でヨーロッパデビューを遂げたこと。そして2つ目がレアル・マドリーのカスティージャ(Bチーム)でベンチ入りを果たしたことだ。

 レアル・マドリーのカンテラは現在マヌ・フェルナンデスの最高責任者の就任を機に、組織の再編と戦略の転換に取り組んでいる。その一環として実施されているのが、所属チームに関係なく、飛び級で試合に出場させようという実力者の抜擢だ。これはナカイにとって必ずしも歓迎できない状況だ。今シーズン、フベニールA(U‐19)に在籍する中で、フベニールB(U‐18)とフベニールC(U‐17)の選手も競争相手となるからだ。

 実際、ここまで常時先発出場できていないのは、このクラブが導入するローテーション政策の煽りを受けポジション争いが熾烈になっていることと無関係ではない。たとえばナカイがベンチスタートとなったクルトゥラル・レオネサ戦ではゴンサロ・ガルシアとマヌエル・アンヘルという2004年生まれのBチーム所属の選手が中盤でスタメンに名を連ねている。

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 その一方でナカイが10番を背負ってスタメンでプレーした試合もあった。ただそれが"いくつか"にとどまっているのは、マドリーのカンテラでは試合ごとに背番号が変わる変動性が採用されているためだ。したがって10番をつけてプレーしたといっても固定制に比べればそこまで重要ではないが、そこにその試合においてナカイに攻撃のタクトを託すという首脳陣のメッセージが内包されているのは事実だ。

 ナカイにとって今シーズンは生き残りをかけた戦いでもある。フベニールAを卒業する選手には3つの進路が用意されている。1つ目がカスティージャ昇格、2つ目がレンタル移籍(マドリーが保有権を維持)、そして3つ目が退団だ。

 ナカイはカステイージ昇格の有力候補の1人として期待されているが、それはあくまで現時点での評価だ。Bチーム行きを手中に収めるには、フベニールAで定位置を確保し、UEFAユースリーグで活躍を見せなければならない。

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