なぜ日本代表は豪州戦で劇的に変わったのか? スペイン人戦術アナリストに訊いた「特に際立っていた選手が…」

2021年10月15日 アレハンドロ・アロージョ

ボール支配率はサウジ戦よりもむしろ低下

サウジ戦とはシステムを変えて臨み、劇的な勝利を飾った森保ジャパン。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 サウジアラビア戦からシステム変更、先発入れ替えといった手を打ってきた森保一監督の積極策が奏功し、日本が瀬戸際から息を吹き返した。

 相手は最終予選3連勝でグループBの首位に立っていたオーストラリア。日本のこの試合にかける思いは、各選手の集中力、テンション、エネルギッシュさといった部分にも見て取れた。スタッツに目を向けると、ボール支配率はサウジアラビア戦よりもむしろ低下(48%から46%へ)している。しかし、むしろそのボールを持っていない時の動きに今回の軌道修正の効果が表われていた。

 基本システムは4‐3‐3。ポイントとなったのは、連動した守備でボールを奪うその手法だ。CFの大迫勇也は相手CBにボールが渡っても、すぐに奪いに行くのではなく、ボランチへのパスコースを切ることに注力。オーストラリアは左右のサイドバックにパスを出すが、それこそが日本の狙いだった。

 その瞬間に中盤を形成した遠藤航、田中碧、守田英正の3選手が両ウイングの伊東純也と南野拓実と連携を取りながら、さらに両サイドバックの長友佑都と酒井宏樹のサポートを受けながら、パスを受けた相手に圧力をかけて攻撃を寸断し、ボールを奪った。つまりボールを持っていない局面でも、日本は試合のイニシアチブを握ることができていた。

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 プレスのかけ方には大別して3つある。1つ目は完全にマンツーマンでディフェンスする方法。2つ目はボール保持者にプレッシャーをかけ、ロングボールを蹴らせる方法。そして3つ目がパスの受け手にプレッシャーをかける方法だ。

 森保監督は4‐3‐3の採用に伴い中盤の枚数が増えた利点を活かし、サイドへとボールを誘導するという3つ目の方法を選択した。しかもこの日は選手間の距離感が適切に保たれ、守備の統一感という点でもサウジアラビア戦との差は歴然としていた。

 攻撃陣の守備面での貢献も光ったが、中でも際立っていたが伊東だ。プレスに奔走しながら相手サイドバックにパスが渡ると自陣まで戻って酒井をサポート。攻撃時にも繰り返しスプリント、縦への突破を披露した。中盤では遠藤と田中の働きが際立った。

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