土俵際に追い込まれ大ナタ! 森保采配に風穴を開けた田中碧、古橋、浅野らの躍動でV字回復の兆し!?

2021年10月13日 元川悦子

指揮官が採るべき策はフレッシュな人材を積極登用し、フォーメーションに変化をつけること。それしかなかった

オーストラリア戦でスタメンに抜擢された田中(17番)、途中出場から勝ち越し点ゲットに貢献した浅野(18番)、古橋(11番)。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

「主軸固定」「ベテラン依存症」など数々の問題点を指摘されてきた森保ジャパン。2019年アジアカップ(UAE)準優勝のチームをベースに、4-2-3-1の布陣で頑なに戦い続けてきた弊害が、今回の2022年カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選序盤3戦で一気に出てしまった。
 
 コロナ禍がなく、最終予選が予定通り、2020年9月から2021年6月にかけて行なわれていたら、まだよかったかもしれない。が、1年の遅れによって、長友佑都(FC東京)が35歳になったのを筆頭に主力の多くが30代を迎えた。となれば、成長曲線がやや頭打ちになるのも認めざるを得ない事実だ。

 加えて言うと、相手国の分析も進んでいる。9月のオマーン戦(吹田)、10月7日のサウジアラビア戦(ジェッダ)で絶対的1トップ・大迫勇也(神戸)は徹底したマークで閉められ、彼を起点とした攻めが組み立てられなかったのが典型例。森保一監督も改めて厳しい現実を目の当たりにしたに違いない。

 序盤2敗という最悪の結果を受け、解任危機に瀕した指揮官が採るべき策はフレッシュな人材を積極登用し、フォーメーションに変化をつけること。それしかなかった。

 まさに背水の陣で迎えた12日のホーム・オーストラリア戦(埼玉)。森保監督は遠藤航(シュツットガルト)をアンカーに据え、田中碧(デュッセルドルフ)と守田英正(サンタ・クララ)をインサイドハーフに置く4-3-3を採用。中盤の距離感を修正し、ボールロストを少なくするとともに、高い位置からプレスをかけ、中盤で相手を自由にしない形を取るように仕向けたのだ。

 オーストラリアのグラハム・アーノルド監督も日本がなんらかの変化をつけてくることを予想。オマーン戦(ドーハ)のオーソドックスな4-2-3-1から4-3-1-2のような形に変化させてきた。このため、中盤の枚数自体は数的不利だったが、サポートとカバーリングを繰り返すことで、穴を作らなかった。

「23番(ロギッチ=セルティック)と13番(ムーイ=上海上港)に嫌な配置を取られて、マンツーでハメ込むのができなかったことがあったので、それを自分と航君と碧、サコ君の4枚で、相手の中盤4枚をうまく見るような形を取った」と守田もコメントしていたが、守備の意思統一は確実に取れていた。
 

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