レギュラー奪取は? 乗り越えるべきハードルは? 岡崎慎司はレスターで活躍できるのか、現地識者が可能性を探る

2015年06月28日 山中忍

あのモウリーニョも鑑識眼を評価したウォルシュ助監督のお眼鏡に。

フィジカルで展開が速いプレミアのサッカーは、新加入の外国人選手には対応が難しいとの定説がある。新天地のレスターで、岡崎は活躍できるのか。可能性を探った。 (C) Plumb Images/Leicester City FC via Getty Images

 レスター・シティが、6月26日に発表したマインツからの岡崎慎司の獲得に要した移籍金は、推定700万ポンド(約12億円)。一般的なプレミアリーグの金銭感覚では廉価な部類に入る。
 
 しかし、プレミアのステータスは昨シーズンが10年ぶりで、その昇格1年目はシーズン9か月のうち5か月を降格圏内で過ごしたレスターにとっては安い金額ではない。移籍金の規模は、昨夏に新エースとして迎えたレオナルド・ウジョアの800万ポンド(約13億6000万円)と同レベルだ。
 
 昇格2年目に向けた今夏は、ターゲット2名の獲得が優先課題だと言われていた。1人は、昨シーズン後半にストークからのレンタル移籍で即戦力となったCBのロベルト・フート。そしてもう1人が、ナイジェル・ピアソン監督が過去2回の移籍市場で獲得に動いたことを認めている岡崎だった。
 
 岡崎自身も昨シーズンのレスターの試合は全てチェックしていたと認めており、チームが2部とは収益規模が桁違いのプレミアに残留できれば「三度目の正直」があるという相互認識があったに違いない。
 
 現地の移籍報道は、ほぼ漏れなくタイ人オーナーの「アジア人獲得願望」にも触れていた。日本人の視点で穿った見方をすれば、「サッカー途上国」からの選手獲得に「実力プラスアルファ」を指摘したがる英国メディアの偏見と言えなくもない。オーナーの希望が事実ならば、チーム首脳陣の補強手腕の確かさも事実だからだ。
 
 レスターの主力には、4年前に推定150万ポンド(約2億5500億円)で獲得した守護神キャスパー・シュマイケルや、昨夏に移籍金なしで中盤の要として迎え入れたエステバン・カンビアッソのように堅実な補強例が多い。
 
 肩書上は補強責任者のフットボール・ディレクターには、昨シーズン途中の人事変更で前アカデミー責任者が内部昇格しているが、軽視してはならないのが長年に渡ってチェルシーのスカウトを務めていたスティーブ・ウォルシュ助監督の存在だ。
 
 11年前、チェルシーによるディディエ・ドログバ獲得の舞台裏で動いたとされるウォルシュの鑑識眼は、前回監督当時のジョゼ・モウリーニョも評価していたほどだ。
 
 そのウォルシュのお眼鏡にも適った岡崎の魅力は、マインツでの出場70試合で29得点という上々の得点率。レスターの地元紙『マーキュリー』紙では、執拗なフォアチェックと合わせて「プレミア向き」とも評されているが、首脳陣の期待は相手ゴールのネットを揺らす働きに尽きる。

次ページ求められるのは、やはり結果だ。

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