豪州戦までに行なうべきことは? 目を覆うような“貧打”解消のカンフル剤はシンプルなタスクと選手交代

2021年10月08日 佐藤俊

選手の起用を含めて、疑問に思わざるを得ない

最終予選でいまだ1得点の攻撃陣にはカンフル剤の注入が必要だ。写真:JFA/アフロ

 ワールドカップ最終予選の序盤で、こんなに追いつめられる状況になるとは誰も想像していなかったのではないか。なんだかんだいっても最後は日本がワールドカップに出場すると多くはそう思い、試合を見てきたことだろう。日本は98年フランス・ワールドカップ以来、6大会連続でワールドカップ出場を果たしてきた。だが、今回は、自信を持って「カタール・ワールドカップに行ける」と言えなくなりつつある。

 サウジアラビア戦、結果的に柴崎岳のミスから失点して敗れたが、サッカーにミスはつきもの。ミスは仕方ないとは思わないが、そういうことが起きて負けることはサッカーではあり得ることだ。ただ、勝つために必要だったものが足りなかったのも確かだ。

 3試合で1得点、目を覆うような"貧打"が続いている。

 2次予選の8試合で46得点を奪った攻撃力は、どこに置いてきたのか。

 この頃は、選手間の距離とコンビネーションが良く、いろんな形で得点が取れていた。そこに、今回の日本代表の強みと完成度の高さが見て取れた。「相手が格下だから」という声もあったが、どんな相手にしろ得点を取るのは簡単なことではない。簡単そうに点を取っているからそう見えるだけで、そこには彼らの技術、個人戦術、得点への強い意識に加え、連係面の熟成などが内包されていた。

 だが、最終予選の初戦のオマーン戦で相手に丸裸にされ、封じ込まれるとそれまでの自信を失ったのか、金縛りになったように攻撃が鈍化した。コンディションの悪さも影響したが、それにしても前の4人のユニットの連係、サイドバックの絡みなど、2次予選で見せていたものの精度と迫力がなくなった。
 
 中国戦にしても伊東純也からのクロスを大迫勇也が決めた1点のみ。

 組織的なオーガナイズがされていない相手であれば、個人でも組織でも崩してきた日本だが、ワンチャンスを活かしただけだった。

 うまくいっていたものがうまくいかなくなるストレスは相当なものだ。それを言葉や練習で突き破り、方向性を示すのが監督だが、サウジアラビア戦を見ていると、これまでの試合の反省を活かして、点を取る準備をこなしてきたのか。選手の起用を含めて、疑問に思わざるを得ない。

 チャンスはあった。

 24分、浅野拓磨のクロスを南野拓実がヘディングしたが、GKにクリアされた。その5分後、鎌田大地のスルーパスに大迫が反応して、GKと1対1になったが、好セーブされた。88分、原口元気の早く低いクロスに古橋享梧が反応したが、あと一歩だった。

 セットプレーではコーナーキックが5本あったが、得点の可能性を感じさせるシーンはなかった。アウェーでのセットプレーは最大の得点チャンスだが、特に工夫も見られず、あっさり終わった感があった。
 

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