【柏】「たかが勝点1、されど勝点1」。仙台にドローでもポジティブな理由「より前線に人数が」

2021年10月02日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「敵の長所を消す」から「自分たちの特長を生かす」へ

同点ゴールを決めた神谷(39番)を軸に、仙台戦では厚みのある攻撃をできていた。写真:田中研治

「たかが勝点1、されど勝点1」

 1-1に終わった仙台戦後、ネルシーニョ監督はそう話し、「非常に重要な勝点1」とも繰り返した。結果だけ見ればJ2降格枠にいるチームとドローでネガティブに見えるかもしれないが、確かに指揮官の言うとおりポジティブなゲームだった。

 最大の理由は戦い方にある。

 これまでは敵の長所を消す戦術を重視し、とりわけ後半戦は3バックで守備偏重の戦いぶりが目立った。だが前節・G大阪戦の後半からは4バックに変更し、仙台戦では4-4-2システムでスタート。最終ラインからボールをつないで主導権を握り、特に後半は敵陣で猛攻を仕掛け続けた。ポゼッション率55パーセント、シュート数20本(仙台は10本)というスタッツがなによりの証明だろう。

 仙台戦で前半はボランチ、後半はトップ下で活躍したマテウス・サヴィオも、4バックへの手応えを語っていた。

「4バックにすることによって、より前線に人数をかけ、ゴールに近づけるような形にできたと思います」
 
 変化を端的に表現するなら、「敵の長所を消す」から「自分たちの特長を生かす」へ。象徴的だったのがCBに古賀太陽とエメルソン・サントスを置いた起用法だろう。両者ともに守備時のマークの受け渡しには長けていない反面、攻撃時のビルドアップは得意。案の定、失点はしたものの、一方でCBからの配給はかなり効いていた。

 今季、5バックでリトリートしても守り切れないゲームが多々あった現状では、守備改善の兆しがハッキリとは見えていない。だったら、「攻撃の時間を増やす」が今つけられる良薬かもしれない。その観点でも4バックで自分たちの特長を生かす戦い方はポジティブに映る。またチャンスの度に会場が沸く光景から「これこそエンターテインメント」とも思った。

 もっとも、勝点1で満足してはいけない。同点弾を決めた神谷優太は「もっと崩し切るには早いボールの動かし方を」「もっと動かして相手を疲れさせるプレーができたら」と改善点を炙り出す。そして「逆転するには何が足りませんでしたか?」との質問には、次のようにキッパリと答えた。

「最後の質だと思います。結局最後の質が高ければ高いほど点は入りますし、そこは僕自身もそうですけど、もっともっと質にこだわって練習からやっていけたらいい」

 終盤戦は改善点をハッキリ言える神谷の活躍に期待したい。と同時に、残留が確定していない現状は、未来の話はまだ懐にしまっておくべきだと分かっていても、「決定力のあるFWを補強すべき」との想いが心の奥底にある。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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