五輪開催中にカヌー&ウェストとバーで意気投合! ナイジェリアの金メダル獲得に貢献した?【英国人エディターコラム】

2021年09月29日 スティーブ・マッケンジー

インテル時代のウェストとはミラノのバールでCLも観戦

アトランタ五輪期間中にナイジェリア代表の一団とバーで遭遇。意気投合したカヌー(4番)とウェスト(3番)とはその後も付き合いが続いた。(C)Getty Images

 東京五輪が幕を閉じてから、すでに1か月半が過ぎた。

 皆さんは、過去のどのオリンピックがもっとも印象に残っているだろうか。僕の場合は1996年のアトランタ五輪だ。アメリカのドリームチームを追ったバスケットボールの取材で現地に飛び、初めてライブで体感したのがこの大会だった。

 思い出に残っているのは、現地取材ができたからという理由だけではない。最高の出会いがあったからだ。

 ある夜、息抜きに街のバーに出かけると、賑やかな一団に遭遇した。見覚えのある顔がいるなと思ってよくよく見てみると、サッカーのナイジェリア代表の面々だった。ヌワンコ・カヌーにタリボ・ウェストがいる。セレスティン・ババヤロ、ティジャニ・ババンギダ、ジェイジェイ・オコチャもいて、チームの全員が顔を揃えていた。これがヨーロッパのどこかの街なら、きっと店内はちょっとした騒ぎになっていたはずだ。でも、そこはアメリカ。他の客は誰も彼らのことを知らなかった。

 思い切って声を掛けてみたのは、自分がまだ若かったせいもあるし、今後の仕事につながるかもしれないという計算も働いたからだ。当時はある出版社で編集記者をしていて、その会社に派遣されての五輪取材だった。

 アルコールの力も借りて話しかけると、彼らは拒絶するどころか、快く迎え入れてくれた。ナイジェリアの選手たちは、こっちがびっくりするくらいオープンでフレンドリーだった。
 
 会話は盛り上がり、なかでも意気投合したのがカヌーとウェストだった。翌日がオフでどこかに出掛けたいという2人を僕がエスコートすることで話がまとまり、実際に2人を車に乗せてショッピングモールに行ったりして他愛もない時間を楽しんだ。

 この気分転換がよかったんだろうね(笑)、ナイジェリアは金メダルを獲得した。準決勝でブラジルを倒し、決勝ではアルゼンチンを撃破しての堂々たる戴冠だった。ブラジルはベベット、ロベルト・カルロス、ロナウド、リバウド、アルゼンチンはエルナン・クレスポ、アリエル・オルテガ、マティアス・アルメイダ、ハビエル・サネッティと錚々たるメンバーを揃え、本気で金メダルを獲りにきた南米の2強を連破したナイジェリアは、本当に強かった。

 カヌーとウェストとの付き合いはその後も続き、カヌーがアーセナル在籍中は何度か食事に行ったりした。インテル時代のウェストにはミラノに来ないかと誘われて、一度訪ねたことがある。ミッドウィークに行って、バールで一緒にチャンピオンズ・リーグの試合を観たりして。

 マンチェスター・ユナイテッドとバルセロナの試合だった。チャントを熱唱しながらノリノリだったウェストを覚えているよ。そうかと思えば、彼は敬虔なクリスチャンの顔も持っていて、翌日はナイジェリアの人たちが集まる教会に行って一緒に祈りを捧げた。

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