「勝たせなければいけない」降格圏脱出の相模原を力強く牽引する藤本淳吾の責任感と飽くなき欲求

2021年09月22日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「決定的なプレーができる選手でいたい」

ここまで25試合に出場する藤本は、チームトップの6得点。「もっとゴール数を増やしたい」と貪欲だ。写真:滝川敏之

 コンディションは上々だ。「ここ数試合は良いと思うし、それを維持できている」とSC相模原の藤本淳吾は言う。

「要領良くというか、(スペースが)空いたところに味方を動かしたりとかできているし、あとはみんなが(自分を)見てくれていて、ボールが集まる。それで自分の中でリズムができている」

 今年37歳。若い頃のようにはいかないかもしれないが、質の高いパフォーマンスを続けている。年齢による衰えがあるとしたら、それをほとんど感じさせない。

「練習でうまくセーブしてもらったりとか。ゲームも2本連続とかあんまりないし。うまく調整してもらっている。それは本当にありがたいし、助かっている」

 チームを指揮する高木琢也監督はどう見ているか。

「練習の中で力を抜いているわけではないけど、ある程度、自分でもコントロールしながらで、それはそれでしっかりやっていると思う」

 その練習と実際の試合では、藤本のプレーは異なるという。

「ゲームとトレーニングの差、違いはありますね。ゲームになった時の淳吾の動き、プレーに関しては、トレーニングの時よりも研ぎ澄まされるし、そこは若い選手も見習ってほしい。本当のゲームでの彼のプレーは全然違う。それは経験者で、あれだけの選手だから」
 
 藤本はここまで25試合に出場し、チームトップの6ゴールをマーク。7月3日の21節・ギラヴァンツ北九州では「何年ぶりかな」と本人も笑う今季初のフルタイム出場。以後はすべての試合で先発。シャドーのレギュラーとして活躍している。

「ゲームを落ち着かせられるし、ちょっとしたことを伝えるだけで、それを理解しながらやれる。もちろん、あいつの感覚も大事にしたい。それをうまく出せる選手なので。コンディションだけしっかり整えていけば、一定のレベルでずっとやれると思います」

 そう評価する指揮官が藤本に期待することのひとつが、「得点や、得点に絡むひとつ、ふたつ前のパス」。藤本自身も「決定的なプレーができる選手でいたい」と語る。

 前節のレノファ山口FC戦では、平松宗のゴールで1-0とリードして迎えた28分、PKを冷静に沈めた。チームとして「1点じゃなくて2点。そこは意識して」と山口戦の前に語っていたように、自らが追加点を奪ってみせた。試合は2-0で相模原が勝利し、降格圏を脱出。22位から18位に順位を上げた。

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