【セルジオ越後】川崎もバルサも必然の結果。サッカーの基本は出ていくだけなら弱くなるということ

2021年09月16日 サッカーダイジェストWeb編集部

本来なら、夏に大胆な補強をすべきだったとは思うけど…

川崎は0-0からのPK戦の末に、昨季王者の蔚山現代に敗れた。多数の主軸の離脱が痛かった。(C) Getty Images

 アジア・チャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦が行なわれ、日本勢の3チームはいずれも韓国勢と対戦したが、準々決勝に勝ち上がったのは名古屋グランパス1チームのみ。川崎フロンターレとセレッソ大阪は残念ながら、16強敗退となってしまった。

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 まず勝ち上がった名古屋は、ハットトリックを達成したシュヴィルツォク様様だったね。もちろん、コンビネーションの良さも見えたけど、フィニッシュの決定力には、やはり日本人選手にはないものがある。対戦した大邱FCも警戒していただろうが、初めて目にする相手では対応も難しかったはず。名古屋は大きな武器を手に入れたよ。ただ、これで中東クラブの"リスト"にも入っただろうね。

 蔚山現代にPK戦の末に敗れた川崎と浦項に0-1で負けたセレッソは、韓国の上位陣を相手に、先手先手を取られる試合展開で、自分たちのペースに持ち込めなかった印象だ。特にセレッソはリーグでも低迷している現状が試合に表われていて、解説の播戸もずっと厳しい指摘をしていたね。清武の離脱も大きいし、乾が加わったけど、ポジション的にも今のチーム状況を救うための決め手にはなっていない。ちょっと相手との差を感じたね。

 一方で川崎は三笘と田中の五輪代表ふたりが海外移籍、さらに守備の大黒柱の谷口のほかに、大島や旗手まで負傷離脱してしまった。これだけ主力選手が抜けてしまったら、どんなに強いチームだって、弱体化してしまうよ。蔚山戦に限らず、最近の川崎は以前ほどの得点力がなくなっているし、主力離脱の影響が大きく出てしまっている。ちょっとタイミングの悪い時期に韓国の上位チームと当たってしまったね。

 もちろん、三笘や田中が海外移籍してしまうのは想定できていたこと。チーム内でも最高のパフォーマンスを見せていたふたりが欠けてしまうんだ。本来なら夏に大胆な補強をすべきだったとは思うけど動かなかった。年間予算に縛られているJクラブのことだ。財政上の理由もあったと思うね。

 結局、サッカー界の基本的な仕組みは選手が出ていくだけなら、弱くなるということ。強いチームには選手が集まるし、選手もまた行きたがるんだ。バルセロナがいいたとえだよ。この数年でネイマール、スアレスが抜け、最大のスターであるメッシまで抜けて、CLの開幕戦ではホームでバイエルンに惨敗。必然の結果だね。チーム作りの基本はJリーグだろうと、海外クラブだろうと同じことだよ。
 

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