アンチェロッティが「公開ダメ出し」と「個人特訓」で成長を促す、マドリー期待のアタッカー【現地発】

2021年09月13日 エル・パイス紙

ドリブルにこだわるプレーに苦言

復任したアンチェロッティ監督が期待をかけているのがヴィニシウスだ。(C) Getty Images

 このシーズン序盤、ヴィニシウス・ジュニオールほどカルロ・アンチェロッティ監督の"公開ダメ出し"を受けている選手はいないだろう。

 レアル・マドリーの監督復帰記者会見で「得点数を増やしてほしい」と早速リクエストを出されると、開幕節のアラベス戦後には、「4、5、6回もタッチしてゴールを決めるのは難しい。そのようなFWはなかなかいない」とドリブルにこだわるプレーに苦言を呈された。

 さらに第2節のレバンテ戦後には、「ドリブルでDFラインを突破できる。スピードがあるからね」とドリブルで持ち込み、左足で流し込んだ1ゴール目のプレーを引き合いに出し、今後も継続していくよう奨励された。
【動画】ヴィニシウスがレバンテ戦で決めたスーパーゴール

「ドリブルよりもゴール(シュート)のほうが簡単だ」。本人も自覚するように課題は明確だ。だからこそ今シーズンここまで3節終了時点で3得点(4節でも1ゴールを記録)という活躍はある意味驚きだ。とりわけレバンテ戦で挙げた2得点はいずれも決定力と繊細なボールタッチを発揮したものだった。

【PHOTO】「美人すぎる」、「セクシーすぎる」フットボーラーの妻&恋人たち
 
 今後の本格化に期待がかかるが、とはいえ過去の戦績がそうした周囲の願いにブレーキをかける。昨シーズン、チャンピオンズリーグのリバプール戦(準々決勝第1レグ)で2得点をマークし脚光を浴びた時も、その後シーズンが閉幕するまで12試合ノーゴールが続いた。

 入団以来、このゴール前の詰めの甘さがヴィニシウスを巡る賛否両論をヒートアップさせてきた。本人は、「僕のモットーはトライし続けることだ。1回ミスしても、次にまたトライする。それだけのパーソナリティが僕にはある」とあくまでチャレンジ精神を失わないが、前監督のジネディーヌ・ジダンも個別でシュート練習を課すなど厳しく指導した。

 あるチーム関係者は、現在のアンチェロッティとヴィニシウスの間柄を師弟関係に例える。

「ヴィニ(ヴィニシウスの愛称)は毎日、シュート練習を欠かさずに行っている。アンチェロッティは特に気にかけている。より決定的な仕事を見せるだけではない。一皮も二皮もむけて、マドリーの攻撃を別次元に引き上げる存在になってほしいと期待している。

 だからたくさん話しかけているし、褒めることがあれば、叱ることもあるもある。いうなれば先生と生徒のような関係だ。目指しているのは、練習や試合を重ねるごとに、いまその一面を垣間見せている"ニュー・ヴィニシウス"を定着させることだ。良い方向に進んでいるのは間違いない」

【PHOTO】2021年夏の移籍市場で新天地を求めた名手たちを一挙紹介!
 

次ページ「ゴールゲッターへと覚醒しつつあるのでは?」という問いに指揮官は…

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事