【浦和】「24を僕の番号にしたい」先輩・原口の系譜を継ぐ関根貴大が攻守両面で遂げる急成長

2015年06月21日 石田達也

名だたるDFとマッチアップを繰り返し成長の手応えを掴む。

15節の清水戦に続き、守備面での奮闘が光った関根。「頼りにされる存在になりたい」と語る。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 浦和の右サイドを主戦場とする関根貴大の進化は、とどまるところを知らない。
 
 身長は167センチと決して体格には恵まれているほうではない。しかし、小気味いいステップと鋭い切り返し、一瞬のスピードで相手を置き去りにしていくドリブルは、Jリーグでも屈指の切れ味を持っている。
 
 照れ屋でシャイな浦和のユース育ちは、2014年のルーキーイヤーからメキメキと力を付け頭角を現わした。今季も試合に出場するたびにチームに流れを呼び込む働きで、爪跡を残している。
 
 その関根がプロの世界でやっていく自信を得られたのが、リーグデビュー戦となった昨年3月の清水戦だった。リーグ初の無観客試合(一部サポーターによる差別的横断幕に対する処分)のなか、46分からピッチに立つと、ためらうことなくサイドから積極的なドリブルを仕掛けていった。
 
「あの試合でチャンスをもらえたのが大きかった。(プロの世界で)通用すると思えた」
 関根はこの時、自分の武器に確信を持ったのだ。
 
 それからの関根は長所であるドリブルを前面に押し出し、リーグの名だたるDFたちと真剣勝負のマッチアップを繰り返すことで成長への手応えも感じ取っていた。
 
 しかし半面、クロスや守備面など、取り組まなければならない課題があることも重々承知していた。今は、"若さと勢い"で目の前の敵に勝負を仕掛けているが、"行くところ"と"行かないところ"のメリハリを付けて試合を作っていくことも必要になる。目の前の課題と試練を一つひとつクリアしていかなければ"この先はない"。
 
「チームに迷惑をかけるわけにはいかない」
 自分自身、チームの一員として一人前の選手になることを心の底から願っていた。
 
「もっと頼りにされる存在に、もっと頼られる選手になりたい」
 そう心に固く誓って、望んだ今季だったが、柏から左サイドのスペシャリストである橋本の加入が決まった時点でペトロヴィッチ監督が思い描いた構想は、右に宇賀神、左に橋本の布陣だった。
 
 当初、これには関根も「ベンチ外ですよ(苦笑)」と自虐的な冗談を飛ばしていたが、ACLとリーグ戦を並行して戦っていくなかで、橋本が浦和のスタイルにフィットするのが遅れ、関根にチャンスが回ってくる。そして、攻撃のアクセントになるとともに、試合を動かすゴールを決めることでアピールを続けた。
 
 11節の仙台戦からは3試合連続ゴールを決める活躍を見せ、16節終了時で通算4得点。得点数はすでに昨年の2得点を上回り、関根がシーズン目標に掲げる"5ゴール"も達成目前だ。

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