【セルジオ越後】中国のレベルの低さと冷房の効いたスタジアムに助けられた日本…そんな中で一番光っていたのは?

2021年09月08日 サッカーダイジェストWeb編集部

18本もシュートを打って枠内に飛んだのは3本だけ

圧倒的に攻め立てながら1ゴールに終わった日本代表。得失点差を考えれば、複数得点が欲しい内容だった。(C) Getty Images

 カタール・ワールドカップのアジア最終予選で日本はなんとか初勝利を飾ったね。中国とのアウェー戦は、コロナ禍の影響で中立地のカタール・ドーハで行なうことになったけど、まずは最低限の結果を持ち帰ることはできた。

 しかし、だからと言って今回の勝利を手放しでは喜べない。監督もなんだかホッとした表情で勝点3に満足したようなインタビューをしていたけど、正直この日の中国なら1点で終わっていてはダメ。今後の得失点差での争いも考えたら、1点でも多く取っておかなければいけなかった。
 
 おそらく試合を観た誰もが感じたことだと思うけど、はっきり言って予想以上に中国が弱かった。日本に対して、オマーンとは大違いのリスペクトをもって試合に臨んでくれたんだ。吉田や冨安がボランチかと思うほど、高い位置まで上がってボール回しの起点になり、スパーンと縦パスが入れば一気にそこから相手の守備は崩れてしまっていた。

 にもかかわらずだ。終わってみれば、奪ったゴールは1点だけ。あまりにも攻撃に工夫がなさすぎるよ。相変わらず中を固められたら、同じリズムで"サイドへ出してクロス"を繰り返すだけ。セットプレーも多かったけど、ゴールの匂いもあまり感じなかった。ちょっと攻撃のバリュエーションが少ないんじゃないかな。

 大迫も、ゴールを奪った場面以外ではなかなか中国の脅威になれなかった。至近距離のシュートをポストに当ててしまった場面もあるけど、結局試合に勝つには、ああいうイージーなシュートでも一つひとつきっちりと決めきっていかないと、あとで大きな損失になる場合があるからね。

 それから、シュートの精度も高くない。18本もシュートを打ったのに枠内へ飛んだのはたった3本だけだ。これじゃあ、引いた相手も出ていこうとは思わないよ。「打たせておけば大丈夫」となって、ブロックを崩すためのスペースも生まれないだろう。

 以前だったら、9月にドーハで試合をやるなんて言ったら暑さで倒れる選手がいてもおかしくなかったけど、今回は冷房が完備したスタジアムで助かったね。1点だけなら、終盤に集中が切れて追いつかれてもおかしくはなかった。相手のレベルの低さとエアコンの効いたスタジアムに助けられたよ。

【W杯アジア最終予選PHOTO】日本1-0中国|"半端ない"大迫勇也が決勝ゴール!キッチリ勝点3獲得!

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