総理大臣杯決勝でMVP級のプレー! 法政大を優勝へ導いた川崎内定・松井蓮之の止まらぬ進化

2021年09月07日 安藤隆人

川崎内定後も急成長。攻撃参加の意識に変化が…

J1川崎への加入内定を決めている法政大のMF松井が、総理大臣杯の決勝で別格の存在感を放った。写真:安藤隆人

 ピッチの中で別格の存在感を放っていた。

 総理大臣杯・全日本大学サッカートーナメント決勝において、来季の川崎フロンターレ入りが内定している法政大のMF松井蓮之は、4-1-4-1のアンカーのポジションながら、トップ下のような鋭い飛び出しを何度も見せてゴールに迫り続けた。

 松井が確固たるレギュラーの座を獲得したのは昨年のことであった。試合をこなすごとに成長していった彼は、昨年末に川崎への加入内定を決めた。成長速度はその後も変わらないどころか、加速しているように感じさせ、今年に入ってさらに進化を遂げているのだ。

 その進化は彼の攻撃参加にある。昨年も後ろで相手を潰して、ボールを散らすことをメインとしていたプレースタイルから、アタッキングエリアまで持ち出して、パスやミドルシュートという新たな武器を携えるようになっていたが、今年はそこにドリブルとスペースに抜け出すフリーランが加わった。

 川崎のサッカーの生命線は、ペナルティエリア内の両脇をどう攻略するかにあるが、川崎への練習参加を経験し、田中碧(現・デュッセルドルフ)やジョアン・シミッチのプレーを分析していくうちに、「そのスペースに誰かを行かせるだけではなく、ときには自分自身で侵入していかないと上では通用しない」と感じるようになった。
 
 そこで松井は練習から、高い位置でボールを受けた際に周りに預けることばかりを考えていた自分からの脱却を意識するようになった。前が空いていれば迷わず仕掛ける。またはパスをちらつかせてから直前で判断を変えて仕掛けるなど、バリエーションも加えていった。

 トライする姿勢はリーグ前期からプレーに表われていた。序盤は1人をかわした後に、判断がばたついてボールを奪われたり、苦し紛れのシュートを打ってしまうシーンが目立ったが、徐々にそれがなくなっていくと、逆にアタッキングエリアでのプレーの精度が明らかに増した。

 今大会、松井は決勝までに2ゴールをマーク。そして決勝でも、序盤こそ後ろでバランスを取ることに重きを置いていたが、それも「相手の守備の仕方を把握していた」と口にしたように、相手の戦い方を理解して、守備の仕方や攻撃のタイミングを頭の中で整理する時間だった。
 

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