悔し涙を流した選手権から1年半…清水2年目の鈴木唯人がパリ五輪世代を牽引するアタッカーへ

2021年09月06日 松尾祐希

U-20日本代表の練習試合では、4-3-3のインサイドハーフで攻撃をリードする存在に

U-20日本代表ではインサイドハーフとして攻撃を牽引する鈴木。写真:松尾祐希

 悔し涙を流した高校サッカー選手権から1年半。当時はどこか独りよがりで、気持ちが空回りする時もあった。思うようにいかない――。仲間やスタッフに怒りをぶつけ、感情の起伏も大きかった。市立船橋から清水に入団して早1年半。鈴木唯人は精神的にも肉体的にも逞しくなり、パリ五輪世代のチームを牽引する選手に変貌を遂げようとしている。

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 8月30日から9月5日まで行なわれたU-20日本代表候補合宿。国際Aマッチデー中の開催となった今回はルヴァンカップやJ2などが開催されている影響により、クラブで出場機会を手にしている選手の一部が未招集となった。正式に監督も決まっておらず、3年後のパリ五輪を目指すチームの骨格は見えていないが、選手たちにとっては生き残りを賭けた大事な場である。そうした状況下で存在感を見せたのが鈴木だ。

 1日に行なわれた横浜F・マリノスとのトレーニングマッチ(45分×2本/1△1)では2本目から出場すると、4-3-3のインサイドハーフでプレー。チームはユース主体の相手に対して苦戦を強いられたが、鈴木は攻撃の起点として機能する。試合から遠ざかっている選手が多いなかで、自身はキレのある動きと力強いドリブルでチャンスを演出。68分にはCKからピンポイントクロスで決定機を生むなど、課題が多かったチームにおいて、まずまずのパフォーマンスを見せた。

 反省点を踏まえて挑んだ5日の水戸ホーリーホック戦(45分×2本/3○1)は、横浜戦以上のパフォーマンスでチームの勝利に貢献する。

「(横浜戦は)基本的なミスが多く、試合になっていないと個人的には思っていた。でも、今日の試合は色々噛み合わなかったところが噛み合うようになり、少しずつだけど初めてプレーする選手たちとコミュニケーションを取って単純なミスが減った」

 中3日の間に行なったトレーニングで連係面が改善。4-3-3のシステムに対する理解度も深まり、スムーズにボールを前に運べるようになった。その中心として鈴木は振る舞い、7分には絶妙なスルーパスを中村仁郎に送って決定機を演出。2列目からパスやドリブルで攻撃にアクセントを付けるだけではなく、時には強引に局面の打開を図るなど、冷静な状況判断で存在感を発揮した。
 

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