オマーン戦でいよいよ浮き彫りになった「大迫依存問題」 停滞感が著しい攻撃陣をどう活性化していく?

2021年09月03日 元川悦子

絶対的1トップ・大迫を徹底的に封じられ…

 キャプテン・吉田麻也(サンプドリア)が「負けるべくして負けた」と自戒を込めて言い、長友佑都も「ありえない話」と苦渋の表情を浮かべたように、2022年カタール・ワールドカップ(W杯)出場を目指す日本代表は2日、重要な初戦でオマーンに0-1で苦杯を喫した。

 同じく黒星発進を強いられた5年前の2018年ロシアW杯アジア最終予選は、UAE戦(埼玉)敗戦後、タイとの2戦目に勝ってペースを取り戻した。その後、大迫勇也(神戸)や久保裕也(シンシナティ)、井手口陽介(G大阪)ら若い世代の台頭もあって、最後の最後で切符を手にすることができた。
 
 しかしながら、今回も同じような形で再浮上できるとは限らない。というのも、前回のUAE戦は日本がペースを握り、シュート22本を放ちながら、本田圭佑の1点にとどまったものの、今回はシュート数も内容的にも相手を下回る完敗だったからだ。チーム状況はより深刻と言うしかない。

 とりわけ、苦しかったのが、絶対的1トップ・大迫を徹底的に封じられたこと。中盤が菱形の4-4-2を採ったオマーンは、両センターバック(CB)とアンカーの3枚がかりで彼を止め、そこからの攻撃を展開させなかった。

 合計46ゴールを奪った2次予選では、大迫と鎌田大地(フランクフルト)が近い距離感でプレーし、そこに南野拓実(リバプール)や伊東純也(ゲンク)が絡み合って数多くの得点機を作っていた。だが、その攻撃パターンをオマーンの指揮官であるブランコ・イバンコビッチ監督が細かいところまで分析し、対策を講じ、日本の生命線を断ち切ったことで、一気に攻め手がなくなってしまったのだ。

 大迫自身もコンディションが上がり切っていなかったせいか、動きのキレと鋭さを欠いていた。まだブレーメンに在籍していた7月に今季ブンデスリーガ2部で2試合に出場した後、ヴィッセル神戸に移籍。8月25・28日のJリーグに先発したものの、まだまだ実戦不足なのは明らか。それを森保一監督も分かっていたはずだ。

 だからこそ、今回はオナイウ阿道(トゥールーズ)や林大地(シントトロイデン)のようなポストプレーヤータイプのFWを呼んでおくべきだった。にもかかわらず、招集した24人中、FW登録選手は大迫と古橋亨梧(セルティック)だけ。「イザという時にはリバプールで最前線も務める南野拓実を上げればいい」と考えていたのかもしれないが、それもオマーン戦直前の左太もも負傷によって実現しなくなった。

 こうした後手後手の状況は、全て大迫に依存してきたツケというしかない。いよいよその問題に真正面から向き合わなければならない状況に陥ったと言っても過言ではないだろう。
 

次ページ固定概念に囚われない戦い方を今こそ指揮官には強く求めたい

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事