効果的ではなかった3枚の交代策…古橋の左サイドハーフ起用は正解だったのか【コラム】

2021年09月03日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

ポストワーカーの大迫も、相手に動きを封じられ…

左サイドで途中出場した古橋。持ち味の裏抜けはほとんど発揮できなかった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 日本代表はワールドカップ最終予選で格下のオマーンに0-1でまさかの敗戦。FIFAランキング79位の相手(日本はアジアトップの24位)に何度仕掛けてもブロックを崩し切れず、88分にはクロスから失点を喫した。

 長友佑都が試合後に口にした「あり得ない敗戦」というコメントこそが、選手だけでなく、ファン・サポーターも抱いた感想だろう。

 1か月間セルビアでの合宿を組んでいたオマーンが予想以上にコンディションが良く、組織的だったのもある。アウェーの地でもコンパクトな陣形は最後まで綻びを見せなかった。それでも個々のレベルを見れば、やはり日本のひとつもふたつも上手で、負けるような相手ではなかった。

 気になったのは稚拙な攻撃だ。

 CFに大迫勇也、トップ下に鎌田大地、右サイドハーフに伊東純也、左サイドハーフに原口元気というお馴染みの4-2-3-1のシステムで臨んだ日本だったが、相手が密集していた中央エリアを突破できずに苦しんだ。
 
 ポストワーカーの大迫も、アル・ハミシとアル・ハブシという相手のCBコンビとアンカーのアル・サーディに動きを封じられて基準点となれず、伊東、原口のクロスもことごとく相手に撥ね返された。

 中央を崩したのは鎌田と大迫がペナルティアエリア内の細かいパス交換でゴールに迫った33分くらい。相手がコンパクトな陣形なら、CBの吉田麻也から伊東へとつないだ28分のようなロングボールでの打開を図るべきだったが、その機会も少なかった。

 伊東は試合後に「全体的に良くなかったと思うし、ミスも多かった。効果的な攻撃はできていなかったかなと思います」と反省を口にしている。

 森保一監督の交代策も効果的ではなかった。後半開始と同時に原口に代えて古橋亨梧を左サイドハーフに投入し、63分に右サイドハーフの伊東と堂安律を、70分にはトップ下の鎌田と久保建英を入れ替えたものの、いずれも流れを変えられなかった。選手を変えてもどこか単調で、相手の背後を突くような攻撃は限られたのだ。
 

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