「ひと言で表現すれば…」「考えたいのが優勝チームの特典」。原副理事長に改めて問うリーグカップの価値

2021年09月13日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

例えば、浦和レッズのファン・サポーターにとっては…

浦和の鈴木は3月2日の湘南戦で公式戦デビュー。その4か月後に飛び級で東京五輪代表のメンバーに選ばれた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト)

 ルヴァンカップのプライムステージ(8クラブによる決勝トーナメント)が9月1日に開幕した。そのタイミングで原副理事長に訊いたテーマが「リーグカップの価値」だ。リーグ戦に比べれば注目度も観客動員数も及ばない同大会を、それでも1992年から今日まで継続してやってきた意義は、果たしてどこにあるのか。

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 ルヴァンカップ(リーグカップの現在の呼称)の位置づけをひと言で表現すれば、「若手の登竜門」になるでしょう。特にグループステージは若手選手に限らず、リーグ戦で出場機会に恵まれない選手がアピールする場でもあります。リーグカップで活躍し、その流れでリーグ戦でもチャンスをもらって台頭する選手は少なくないですよね? その点でリーグカップにはリーグ戦とはまた違った価値があります。

 リーグカップの歴史を振り返れば、大会方式やルールを何回か変更しています。試行錯誤を重ねた結果、現在のレギュレーション(グループステージ→プレーオフステージ→決勝トーナメント)にしました。もちろんこのやり方には賛否両論ありますが、正直、正解はないです。
 

 ルールに関してはやっていくうちに定着する側面があって、実際、「U-21先発出場ルール(21歳以下の日本国籍選手を1名以上先発に含める)」もそうですよね。導入当初は反対意見もありましたが、大会が進むにつれてむしろ「意外といい」という声が出てきました。昨季と今季はコロナ禍の影響で適用していないものの、「U-21先発出場ルール」は若手選手のモチベーションを維持する意味でも役に立っているのではないでしょうか。

 主にミッドウィーク開催のルヴァンカップは、リーグ戦に比べると当然ながら注目度は低いです。観客動員数が伸び悩んでいる現状も看過できませんが、だからといって魅力がないわけではありません。コアなファン・サポーターにとっては、普段リーグ戦で使われない若手選手のプレーを見る貴重な機会になっています。

 例えば、浦和レッズのファン・サポーターにとっては、当時18歳のGK鈴木彩艶選手がスタメンに抜擢された湘南戦(グループステージ初戦/3月2日)は特別な試合になったはずです。その後の彼の活躍に加え、東京五輪代表に選ばれた実績も踏まえれば、「あの湘南戦を現地で観ていたんだ」というのはある種自慢にもなるわけです。
 

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