「夏に勝てないと言われていて悔しかった」青森山田がついに手にした夏の栄冠! 次なる目標は歴代2校目の三冠達成だ!【総体】

2021年08月23日 松尾祐希

16年ぶりのインターハイ制覇!

夏の日本一は実に16年ぶり。青森山田が欲しかったタイトルをようやく手にした。写真:田中研治

[インターハイ決勝]米子北1-2青森山田/8月22日(日)/テクノポート福井総合公園スタジアム

 実に16年ぶりとなる夏の日本一だ。

 U-18高円宮杯プレミアリーグや高校サッカー選手権で無類の強さを誇る青森山田であっても、不思議なことに夏のタイトルには久しく縁がなかった。

 直近6年で冬の日本一を2度、準優勝を3度経験し、プレミアリーグファイナルも2度制した一方で、インターハイのタイトルを手にしたのは2005年の1回のみ。選手権で初の日本一を成し遂げた2016年以降、インターハイでベスト4以上に勝ち残ったのは同年のみで、それ以外は毎年のように優勝候補に挙げられながら早期敗退を余儀なくされた。

 もちろん、序盤から強豪校との対戦が続いて疲弊するなど、組み合わせに恵まれなかった側面はある。これまでのインターハイでは、2017年は3回戦で前橋育英に敗れ、2018年も2回戦で昌平に逆転負けを喫した。

 武田英寿(現・琉球)を擁した2019年も、3回戦で北越にPK戦で敗北。力を出しきれずに大会から姿を消すパターンが続き、いつしか"夏に弱い"と言われるようになった。

 しかし、今大会は違った。ここ数年と同じく優勝候補の本命と目されて福井に乗り込むと、大差で強豪をなぎ倒していく。名将・小嶺忠敏監督が率いる長崎総科大附との1回戦を3-0で勝ち切ると、初芝橋本との2回戦、丸岡との3回戦はいずれも8-0で大勝。準々決勝の東山戦では今大会初失点を喫したものの5-2で勝利した。

 そして迎えた静岡学園との大一番。公式戦では2019年の選手権以来の再戦となったなかで、スコアと内容で相手を圧倒した。被シュート0の4発快勝。決定機さえ作らせなかった。
 
 決して静岡学園が弱かったわけではない。東海プリンスリーグでは開幕9連勝中で首位を走っており、攻守にJクラブから注目される選手が多数いるチームである。それでも、相手を寄せ付けず、ほとんど何もさせなかった。

「夏に勝てないとずっと言われていて、自分たちはそれが悔しかった」とは松木玖生の言葉。静岡学園戦後にチームの絶対的エースが話した通り、先輩たちの想いを背負って決勝の舞台に勝ち上がった。

 迎えた決勝、前半10分にCB三輪椋平(3年)が米子北のFW福田秀人(2年)をペナルティエリア内で倒し、PKを献上。これをキッカーのMF佐野航大(3年)に決められてしまう。

 今大会初めて許したリード。黒田剛監督が「(堅守速攻のスタイルを)徹底していて、したたかなパワーがあった。驚くような力があったなかで、かなり我々のやりたいサッカーをひっくり返されて意図する形にはならなかった」と振り返った通り、ボールを保持した一方で、相手の出足の鋭い守備に苦戦して本来の姿を見せられなかった。

 しかし、いかなる展開でも勝ち切れるのが今年の青森山田だ。後半終了間際にクイックリスタートからCB丸山大和(3年)が起死回生の同点弾。さらに延長後半には、ラストプレーとなったCKでふたたび丸山がゴールを奪い、勝負にけりをつけた。
 

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