【指揮官コラム】チェンマイFC監督 三浦泰年の『情熱地泰』|「バランスとタイミング」、そして「心」が必要だ!

2015年06月16日 サッカーダイジェスト編集部

どんなスポーツにも相通じる「バランスとタイミング」。

どんなスポーツにも「バランスとタイミング」は重要と説く三浦監督。練習前のウォーミングアップでもバランスを意識させる光景が見られる。(C) SOCCER DIGEST

 今年の頭からこのコラムを書いてきて、だいたい試合翌日のオフの朝方から昼過ぎにかけて書き上げて、最終的なチェックをして完成するのは夕方という流れが固まってきた。だから、頭にアイデアが浮かんでこんなコラムになるだろうなと見えてくるのは明るい日中ということが多いのだが、今回は夜にコラムのネタが頭の中にスッと降りてきた。僕にとってこんなタイミングは実に珍しい。いつもの生活のバランスが崩れなければいいのだけれど……。
 
 突然だが、ボウリングの世界で一番大事なこととはなにか?――と問われたら、あなたはなんと答えるだろうか?
 それは、「バランスとタイミング」なのである――。
 
 この話を読んで、「そうか、ヤっさんはボウリングの世界にも知り合いがいるのか」と思い込んだ人がいるかもしれない。しかし、残念ながら僕はボウリングのプロ選手をまったく知らない。だから、本当のところは他にも重要なものがあるのかもしれない。
 
 しかし、「バランスとタイミング」が重要なのは間違いないのである。僕が知らない他のスポーツでも「きっと」そうだろう。
 
 フェンシングで一番大事なことは? と問われてもそうだし、棒高跳び、走り幅跳び、走り高跳び、ゴルフ、重量挙げ、あるいは今注目されているテニスやフィギュアスケート……、正反対の特質を持つ様々なスポーツでもきっとそう言えるのだ。もちろん、サッカーでも「バランスとタイミング」は大事な要素である。
 
 バランスには様々なバランスがある。「身体のバランス」もあれば「心のバランス」もある。釣り合いが取れた良い意味での感覚だ。
 
 タイミングには、個人のスキルを発揮するうえでの「判断のタイミング」もあれば、試合の流れを左右する展開のタイミング、例えば「得点のタイミング」「失点のタイミング」などがある。当然、個人が息を合わせるタイミングと集団で合わせるタイミングもある。
 
 バランスさえ取れれば、そしてタイミングさえ合えば――。苦しい状況を打破できる確率はアップするはずだ。だからこの言葉はすべてに相通づじる表現なのだろう。
 
 変な話、分からなかったら「バランスとタイミングだ」と考えればいい。それがすべてではないだろうが、少なくとも間違ってはいない。世の中、どんな世界でも「バランスとタイミング」は重要なのである。
 
 スポーツだけでなく、人間関係においても、「バランス感覚」の良い人は、たくさんの人を引き寄せる力があるだろう。そしてタイミングには、「出会うタイミング」が良ければ、住む世界が大きく変わることもあるかもしれない。「バランスとタイミング」が本当に大切なことは充分に分かってもらえたと思う。
 
 しかし、ひとつ考えてほしい。この「バランス」と「タイミング」は、いろんなスポーツやいろんな日常の場面にも応用できる本当に便利な言葉だ。だからこそ、その言葉に頼り過ぎてはいないだろうか。
 
 なにかを言い表わすのに便利な言葉は様々あるが、とりわけ外来語には細かな意味をひと括りにうまくまとめたり、日本語では伝えにくい意味をうまく言い換えてしまう傾向がある。
 
そこで今回のひと言。
「外来語に頼るな!」

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