【総体】「やるしかないよ!」掛け声、目つき、サポートメンバーとの絆。星稜が見せた勝負にかける強い想い

2021年08月21日 手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

主将はサポートメンバーへの想いを口に

星稜は終盤に2点のビハインドを追いつくも、終了間際に決勝点を奪われ敗戦。それでも、試合に臨む選手らの姿勢は素晴らしいものだった。写真:田中研治

[インターハイ準決勝]星稜2-3米子北/8月21日(土)/三国運動公園陸上競技場

 2日前に行なわれた準々決勝の雨と風が嘘のように、この日はピッチに強い日差しが差し込んでいた。

 会場に到着し、ピッチ脇にある報道員専用のテントの下で一息ついていたとき、すぐ隣から「うおー!」「おらー」「行くぞー」といった、空気の振動が分かるほどの大きな声が鳴り響いた。

 その声の正体は、星稜の選手たち。幅跳び用の砂場の横にある小さな芝生スペースで、体操などの軽い準備運動をしていたプレーヤーたちが、突然に叫び出したのだ。おそらく、試合前に気合いを入れる儀式のようなものなのだろう。

 試合は米子北が、開始8分と10分に立て続けに得点を重ね、2点を先取した。星稜は、はやくもビハインドを負う苦しい状況となったが、前半途中の飲水タイム。ベンチに戻る選手たちに向けてGK山内友登(3年)が、「逆転できるぞ!やるしかないよ!」と檄を飛ばし、チームメイトを鼓舞した。

 こうした選手同士の支え合いが実ったか、その後、星稜は試合終盤に2点を奪い返し同点に追いついた。
 
 試合中に最終ラインから、チーム全体に声を掛け続けていたキャプテンのDF中村実月(3年)は、「自分も中学のときは、そんなに試合に出れる機会が多くありませんでした。周りのサポートメンバーで来てくれている人たちもいて、その子たちの気持ちも分かるので、ここで負けてしまったら支えてくれた人たちに申し訳ないと思った」と勝利への強い想いを口にした。

 終了間際の70+5分、米子北に一瞬の隙を突かれて決勝ゴールを献上。星稜は惜しくも決勝進出を逃す結果となった。

 それでも、選手たちの鋭い目つきや、大声でお互いを支え合う声の掛け合い、ベンチ入りできなかった仲間たちとの絆など、勝負にかける真摯な姿勢は、胸を打つものがあった。強い日差しにも負けない、星稜の熱い夏は終わってしまったが、この経験を糧に、選手たちはさらに逞しくなるはずだ。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

【インターハイ準決勝PHOTO】星稜2-3米子北|同点に追いつかれた直後の劇的AT弾で米子北が決勝進出!!
 
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