Jリーグの永続的な繁栄のために──。村井チェアマンが全57クラブに求めるスタンスとは?【J’sリーダー理論】

2021年08月30日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

一過性のブームに期待してしまうと…

今なお名古屋のサポーターから愛される吉田。東京オリンピックでの活躍はファンに勇気を与えるものだった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 オリンピックという一過性のブームに期待してしまうと、Jリーグの永続的な繁栄は築けない。それが、村井チェアマンの持論である。国際的なイベントの盛り上がりに頼らず、地に足を付けて「今までどおり弛まぬ努力をする必要がある」と決意を述べる同チェアマンがJ1~J3の全57クラブに求めているスタンスとは? 

――――――――――――◆―――――――――――――◆――――――――――

 オリンピックという国際的なイベントで、日本国民の方々は様々な競技をご覧になったことでしょう。テレビの高視聴率から再認識させられたのがサッカー人気です。日頃Jリーグに触れない方も、東京オリンピックでは「日本を応援する」という気持ちで代表チームの戦いをテレビ観戦される方が多かった印象です。

 男子サッカー日本代表の戦いに言及すれば、今の実力が反映された結果(4位)でした。開幕前は「史上最強」とも言われましたが、優勝できるレベルにはまだ達していない。その現実を選手たちは身をもって理解したのではないでしょうか。

 視聴者側に立つと、より多くの方がサッカーを自分事に捉えて感情移入できた大会だったと認識しています。海外組、国内組という枠組みはさて置き、東京五輪代表のメンバー22人は全員Jリーグ経験者。いずれもどこかのホームタウンで活躍していた選手で、そんな彼らをファン・サポーターは"おらが街のヒーロー"という感覚で応援していたように思えます。
 
 さて、オリンピックが終わり、Jリーグが再開しました。東京オリンピックで初めてサッカーをご覧になった方もいるはずですが、ライト層を取り込む作業のみに傾倒するつもりはありません。JリーグはJリーグ。オリンピックという一過性のブームに頼ってしまうと、永続的な繁栄は築けません。オリンピックはひとつのナショナルイベントと割り切っていて、我々は今まで通り弛まぬ努力をする必要があります。ワールドカップやACLなどの国際舞台も、Jリーグの延長線上にあるものと捉えています。

 ブームに左右されないよう、Jリーグとしてしっかりとした基盤を作る。今、J1からJ3までの全57クラブには各地域の風土や歴史をサッカーに言語化し、そのサッカーを定着させるアクションを求めています。おらが町のサッカーは何か、それを問い続けていく作業は大事です。

 スペインには独自の技術や個人戦術が根付いていて、ブラジルには彼ら特有のリズム感がある。いずれもその国の文化などから吸収したもので、だからこそ日本も「自分たちのサッカーが何か」を突き詰めないといけない。そのうえでヒントとなるのがいわゆるフィロソフィーの言語化だと、私はそう考えています。
 

次ページ非日常の世界をサッカーと掛け合わせてもいい

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事