【J2】5戦白星なし――開幕ダッシュに成功した千葉は、なぜ失速したのか

2015年06月15日 本田健介(サッカーダイジェスト)

水野の“復帰弾”でスタジアムは歓喜したが…。

千葉への復帰を告げるゴールを挙げた水野が盟友の岡本のもとへ駆け寄る。スタジアムが大いに沸いた瞬間だった。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 J2・18節、ホームに福岡を迎えた千葉は、序盤で2点のリードを得るも、後半に追いつかれて2-2のドローで終えた。これで千葉は5戦白星なし。今季は4節、そして7節にも首位に立つなどスタートダッシュに成功したが、ここにきてよもやの失速ぶりを見せている。
 
 4戦ぶりの勝利を目指した福岡戦は最高の立ち上がりだった。7分、町田の浮き球のパスに抜け出した森本が左足を強振。強烈なシュートがゴール右隅に突き刺さり、先制に成功した。今季はPKでの1得点のみと、流れのなかでネットを揺らせていなかったエースの待望のゴールにチームも勢い付いた。
 
 11分には今季8シーズンぶりに千葉に復帰した水野が続く。CKの流れからパウリーニョがクロスを入れると、一度はクリアされるがそのボールをダイレクトで叩き込む。千葉では2007年10月6日の甲府戦以来となるゴール。真っ先に盟友であるGK岡本のもとに駆け寄り、ふたりで抱擁を交わした姿は多くの千葉サポーターの胸を熱くさせたはずだ。
 
 出来すぎた試合の入りに、ここ数試合の陰鬱とした空気は吹き飛ばされたかに思えた。しかし――。
 
 35分に佐藤健の緩慢な対応によって金森に決められると、試合の流れは徐々に福岡へ。千葉は2列目の町田、井出と機動力に優れたふたりを中心に攻め込むが、後半のシュートは1本のみ。福岡にロングボールを放り込まれるとズルズルと最終ラインが下がり、前線の選手たちは孤立。時間を追うごとにピンチの数が増え、73分に中原に同点ゴールを許した。
 
「うちには得点を量産できる戦力は揃っていないので、まずは守備を重視することが大事」
 
 開幕前、関塚監督が語っていたように、千葉は序盤戦こそ堅牢な守備を見せていたが、ここ5戦は
 
14節・金沢(△1-1)
15節・北九州(●1-3)
16節・群馬(●0-2)
17節・札幌(△1-1)
18節・福岡(△2-2)
 
と、9失点。守備の脆さが顕著になっている。福岡戦でも1失点目は佐藤健が金森の突破を簡単に許し、フォローも間に合わず。2失点目はフリーでクロスを上げられ、マークが甘くなったところを中原にヘディングで決められた。好調を維持していた時期には考えられない、軽い守備の連続だった。

次ページふたりのベテランの力によって立ち直れるか。

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