【浦和】トップ下は江坂か小泉か――模索したい共存策

2021年08月15日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

江坂はトップ下でこそ生きる

この夏に加わった江坂(左)と中断前に重要戦力となった小泉(右)。指揮官はふたりをどう生かすのか。(C)SOCCER DIGEST

[J1第24節]浦和2-1鳥栖/8月14日/浦和駒場

 ステーキにするか、寿司にするか――。そんな選択を指揮官は毎食のように迫られるかもしれない。

 この夏、浦和に加入した江坂任はJ1第24節のサガン鳥栖戦で1ゴール・1アシストの活躍。柏レイソルで10番を背負い、今年3月には日本代表にも選出されたアタッカーがトップ下のポジションで見せつけたのは、非凡な攻撃センスだ。

 とりわけ秀逸だったのが、縦パスを引き出すポジショニング。相手に捕まらないファジーなポジションを取って味方からパスを呼び込むと、テンポ良く味方に展開して局面を打開した。

 36分には明本考浩のゴールを演出した胸でのアシストだけでなく、田中達也の仕掛けを促す良質なパスを幾度となく供給。32分には田中との連係から明本への決定的なパスを送ってもいる。

 360度を見渡せる視野と素早い判断、時に自らゴール前に飛び出す得点意識など、改めて高い能力を示した。もちろんサイドハーフやCFもこなせるのだろうが、やはり最も生きるのはトップ下なのだろう。

 ただし、そこで問題となるのが、小泉佳穂との使い分けである。北海道コンサドーレ札幌戦とこの鳥栖戦はコンディション不良のために欠場した小泉だが、東京五輪による中断前の存在感は特大だった。

 左右の足を器用に扱うボールキープと攻撃を流動化させるパスセンスは、今の浦和にとって重要な要素である。「フィールドの4分の3でボールを失わずチャンスを作れる。スタイルの中で非常に大事な選手。彼がいない試合は難しくなる時もある]とリカルド・ロドリゲス監督からの信頼も厚い。
 
 江坂と小泉のどちらを起用するかは、指揮官の当面の課題となる。

「どちらかスタートして、どちらかを、あとで変えて出場させることも考えられる」

 ふたりの起用法について、指揮官は言う。確かにトップ下で使い分けるのもひとつの手だが、どちらかをベンチに置くのはあまりにもったいない。やはり共存策を模索する必要があるだろう。

 事実、指揮官は「小泉と江坂は、一緒に組むこともできる」とも言っている。

 その共存策のひとつが、小泉のボランチ起用だ。これまでも何度かボランチでも起用されているとおり、小泉のターンやパスセンスは後方からのビルドアップでも生きるだろう。

 江坂をサイドハーフで使う選択肢もあるが、前述したとおり、やはり江坂はよりゴールに近いトップ下やセカンドストライカーの役割が最も適していると見える。

 得点感覚の高い江坂をトップ下に、ボールの散らしが上手く汎用性のある小泉はボランチに置くのがひとつの解決策となり得る(ボランチには新加入で司令塔タイプの平野佑一がいるので、また悩ましいところではあるが)。

 ステーキと寿司が同じテーブルに乗る、そんな欲張りな選択もありではないだろうか。小泉が復帰してから指揮官はどんな采配をするのか。注目したい。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

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