酒井宏樹が見せつけたクオリティ…重戦車のようなフィジカルと攻撃参加は驚異的だった

2021年08月15日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「まだまだ10のうち1、2くらい」

浦和デビューを果たした酒井。本領発揮とまではいかなかったが、クオリティの高さは見せつけた。(C)SOCCER DIGEST

 やはりフランスのマルセイユでレギュラーを張るほどの実力は、伊達ではない。

 この夏に浦和レッズに加入し、9年ぶりにJリーグに復帰した酒井宏樹は、8月14日のJ1第24節サガン鳥栖戦で新天地デビューを果たした。

 新たに赤いユニホームを身にまとった酒井は自身が最も得意とする右SBで先発出場すると、高質なパフォーマンスを見せつける。

 まず驚かされたのは2分だった。相手DFの大畑歩夢から足もとにタックルを受けた際に、酒井はビクともせずスッと立ち上がるのだ。一方でタックルを仕掛けた大畑は酒井の下敷きになる形になり悶絶。結果的に酒井のファウルという判定になってしまうのだが、圧倒的なフィジカルの強さが伝わってきたシーンだった。

 また17分には、右サイドを駆け上がり岩波拓也のフィードを受けると、ひとりで相手のペナルティエリア内に進入。ドリブルは相手にギリギリで止められたが、重戦車のような突破力を垣間見せた。

 その他にもゴールにはつながらなかったが、度々サイドハーフの田中達也を追い抜いて攻撃に参加する姿には迫力があった。

 まだ合流したばかりとあって、味方との連係はまだまだといった印象ではある。それでも豪快なアップダウンは驚異的で、今後の可能性を十分に感じさせた。
 
 それでも酒井本人によれば「まだまだ10のうち1、2くらい」だというのだから、恐れ入る。

「今日が1試合目ということでしたけど、まだまだ自分のパフォーマンスも連係も、もっともっとよくなると思います。まだまだ強い浦和レッズを見せられると思いますし、今日のパフォーマンスは始まりの一歩だと思ってほしいです」

 課題は少なくない。まずはコンディションだ。マルセイユでのシーズンを終えてからすぐに東京五輪を戦った酒井は、ほとんど休みがないまま、このリーグ戦を迎えていた。心身ともに疲労度も相当なものだろう。

「試合数が多かったので、前半の終わったタイミング、後半始まったところでコンディションは落ちて、疲れていました。そこをまずは90分できるような身体に戻すというところ」

 そう打ち明ける酒井は、さらにもうひとつの課題を話す。

「あとは連係ですね。ずっと90分間考えならプレーしていたので、それを考えずにオートマチックにできれば疲れないと思うので。今日は良い勉強になりましたし、まだまだパフォーマンスを上げないといけないと思いました」

 リカルド・ロドリゲス監督のサッカーは映像でチェックしていたというが、見るのと実際にピッチで実践するのでは勝手が違う。

「これから積み重ねていくことが本当に大事だと思います」

 今後に向けてそう語る酒井は、次はどんなパフォーマンスを見せてくれるだろう。Jリーグのファンにとって、新たな楽しみが増えたに違いない。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

【J1第24節PHOTO】浦和2-1鳥栖|江坂任の加入後初ゴールで勝ち越し!浦和4試合ぶりの白星!

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