バルサ番記者も予想できなかったメッシの電撃退団。なぜラポルタ会長は不可解な形で白旗を上げたのか?【現地発】

2021年08月12日 エル・パイス紙

アグエロの加入も、どこまで満足させていたのかは分からない

退団会見で涙を流すメッシ。本人も予期せぬ別れだった。 (C)Getty Images

 まさかのアディオスだった。バルセロナはラ・リーガの規定と財政難を理由に合意に達していたリオネル・メッシの契約延長の実現が不可能になったと声明を出した。

 メッシがブロファックス(内容証明郵便)を出して移籍を志願した昨夏ならこの退団という最悪の事態はまだ予想できた。しかもジョアン・ラポルタが会長に再任して以来、フロントとの関係は改善され、相思相愛とまで言われていた。

 予想外だったのは、ラポルタがこんなにも不可解な形で白旗を上げたこと。選挙のキャンペーン中にメッシがポスターと化し、3月に再任した後は、契約延長が最優先課題だと強調し続けてきただけになおさらだ。

 選挙当日にはメッシも投票に訪れ、誰もがラポルタに一票を投じたことを疑わなかった。ラポルタは楽観論を唱え、メッシも納得している様子だった。交渉はハッピーエンドに向かっていると思われていた。

 しかし、ラ・リーガが投資ファンド「CVCキャプタルパートナーズ」と契約を結んだことが明らかになり、事態が急転した。その分配金を手にすれば、サラリーキャップの超過問題を緩和させ、メッシを選手登録することも可能なはずだったが、レアル・マドリーが異論を唱え、バルサも追随した。両者は欧州スーパーリーグ構想の推進派だ。

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 メッシが今夏のチーム作りに疑問を感じていたという憶測が出回っていたのも事実だ。言うまでもなく彼の目標はチャンピオンズ・リーグの奪還だ。現状のままのスカッドでは難しいと踏んでいたのもしれない。友人のセルヒオ・アグエロの加入にしても、どこまでメッシを満足させていたのかは分からない。

 その一方で、アルゼンチン代表の同僚、クリスティアン・ロメロ、あるいはその同等の実力を持ったCBの補強を望んでいたとも言われている。もっともこれらの話が仮に事実であったとしても、ラポルタと袂を分かつ決定的な要因になったとは思えない。事実、メッシはバルサとの契約延長を最優先し、他のクラブと交渉を断っていた。

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