【連載】識者同士のリーガ放談「3冠バルサは、ふたたび黄金期を築くのか?」

2015年06月12日 豊福晋

カウンターとポゼッションの「二段構え」が現バルサの特長。

史上二度目の3冠を達成したバルサは、同じように3冠でスタートしたペップ時代のような「王朝」をふたたび築くのか。 (C) Rafa HUERTA

豊福晋:バルサのチャンピオンズ・リーグ優勝、おめでとうございます。シーズンを通してチームを追う番記者としては、やはり嬉しいものでしょう?
 
ルイス・フェルナンド・ロホ:愛着があるからね。別に自分が勝ったわけじゃないけど、バルサの優勝はいつだって嬉しいものだ。街の盛り上がりもすごいよな。ベルリンからの帰路も、バルセロニスタが歌うわ、騒ぐわ。
 
豊福:ベルリンからバルセロナに戻るフライトに、ちょうどバイエルンのチアゴが乗り合わせていたんですが、彼も乗客たちに祝福されていました。もうバルサの選手じゃないのに(笑)。
 
ロホ:選手の盛り上がりもまあすごかった。羽目を外すピケに、例によってブラジル人たち、ダニ・アウベスやネイマール、アドリアーノにラフィーニャなんかは踊りまくっていたよ。
 
豊福:翌日にバルセロナ市内で行なわれた優勝パレードは取材に?
 
ロホ:いや、あれはやめておいた。あんな人混みのなか、最前線でチームバスを追いかける仕事は、さすがに若手がやるものだ(笑)。
 
豊福:試合に関しては、数日が経ったいまでも地元メディアで分析が続けられていますが、ロホはどう見ています?
 
ロホ:順当な勝利だ。予想通りユベントスは非常にいいチームだった。しかし、正直なところ、勝つのはバルサ以外には考えられなかった。
 
豊福:決勝前の予想でも、「バルサ優勝を断言してもいい」と言い切っていましたが、それだけ自信があったのはなぜです?
 
ロホ:やはりトリデンテの存在だ。どんな試合であっても、3人のうちひとりは確実にゴールを奪う。その確信がいまのバルサにはある。
 
 実際、追いつかれて1-1になった直後の苦しい時間帯でも、この3人ならワンチャンスをモノにして試合を決める。そう確信していたよ。
 
豊福:試合のポイントは、1-1になった後のあの時間帯ですよね。あそこでユベントスが勢いに乗って前がかりになった。
 
 バルサは押し込まれ、もちろん後ろの選手が苦しいのは間違いないんですが、むしろ好都合でした。中盤にスペースができ、カウンターが仕掛けやすくなりましたから。
 
ロホ:そのとおりにカウンターからメッシがドリブルシュート、そのこぼれ球をスアレスが決めて2-1。勝ち越したバルサは、落ち着いて試合をコントロールした。
 
 カウンターとポゼッションの「二段構え」こそ、いまのバルサの特長だ。内容的にも満足できる、とても面白い試合だった。

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