「じわじわと悔しさが…」来季は田中碧に替わる存在へ。川崎加入内定の法大ボランチ松井蓮之が東京五輪から得た刺激

2021年08月10日 安藤隆人

「年下の選手が活躍しているのを見て、じわじわと悔しさがこみあげてきた」

来季の川崎加入が内定している法政大のMF松井。写真:安藤隆人

 東京五輪でU-24日本代表がメキシコ代表に1-3で破れ、無念の4位に終わった翌日、関東大学リーグ13節・法政大vs慶應義塾大の一戦が行なわれた。この試合で川崎フロンターレ入りが内定している法政大のボランチ・松井蓮之は、決勝アシストをマークするなど奮闘を見せ、チームを2-1の勝利に導いた。試合後、彼に心の内を聞くと、素直な言葉が溢れてきた。
 
「五輪が始まる前は別世界の話というか、僕は呼ばれたこともない代表だったので、単純に『日本頑張れ!』と思っていました。でも、同年代では橋岡大樹選手とか出ていましたし、谷晃生選手など年下の選手が活躍しているのを見て、じわじわと悔しさがこみ上げてきました」

 松井は2000年2月27日生まれの21歳で、今回の東京五輪のターゲットエイジだった。だが、U-16、U-17日本代表に選ばれた経験はあったが、アジアや世界の年代別日本代表の公式戦に絡むまでには至らなかった。今回のU-24日本代表にも一度も絡まず、彼から見れば自分とは縁のない存在であった。

 だが、昨年1年間で劇的な成長を見せ、年末には川崎入りが決まるなど、メキメキと自信と実力をつけてきた彼にとって、テレビ画面に写る世界は別世界ではなく、『もっと頑張れば行けたかもしれない場所』に変わっていた。

「試合を『自分が入っていたらどういうプレーをするのか』とイメージしながら見ていました。最初は『自分は遅咲きだから』と思っていましたが、もう残すところ僕にはA代表しかないし、悠長なことは言っていられないなと。代表に対する思いは前より強くなりました」

 東京五輪の6試合を全てリアルタイムで観ていたという松井は、遠藤航と田中碧のダブルボランチに注目をしていた。そこで気づいたのは、この2人がお互いを補完しあっているのではなく、長所をそれぞれ前面に出して日本の攻守の中心になっていたことだった。

「遠藤選手は守備的な選手と言われていましたが、前に出て攻撃に関わっている回数は多かったですし、その質が非常に高かった。ミドルシュートも常に狙っているし、なんでもできる選手だと改めて思いましたし、やっぱり僕が理想としている選手だと感じました。碧くんは全体のバランスを取りながらも、ここぞというところで前に出て攻撃に絡んでいく。仕掛ける場所もタイミングも常に真ん中から動き出してボールを運んだり、受けたりしている。ボランチの2枚が高い位置でボールを受けて攻撃に絡んでいくことはなかなかできないことだと思うので、やっぱりこの2人は替えが効かない存在だと思いましたし、自分もそうなりたいと思っています」
 

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