「あの2か国からはボールを奪えない」“デュエル王”遠藤航がこぼした驚きの言葉に世界との差を感じた【東京五輪】

2021年08月09日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

「さすがに手を焼いているな」という印象

ボール奪取力では日本随一の遠藤(右)でもスペインとメキシコからは簡単にボールを奪えなかったという。写真:JMPA代表撮影

 東京五輪の3位決定戦で敗れ、メダル獲得を逃したU-24日本代表。グループステージを唯一の3連勝で突破し、ベスト4に進んだ点は評価できるが、スペインとの準決勝とメキシコとの3位決定戦では、世界の強豪との差を見せつけられたのも事実だ。

 敗戦翌日、オンラインでの取材の反町康治委員長の口から、驚きの言葉を聞いた。MFの遠藤航が試合後、「ドイツでは奪えるのに、あの2か国(スペインとメキシコ)からはボールを奪えない。自分の射程圏内に入ってもできない」とこぼしたというのだ。

 遠藤と言えば、昨シーズンのシュツットガルトで、ブンデスリーガのデュエル勝利数1位(476回)に輝いた1対1の強さが持ち味だ。実際、今大会でもその能力を存分に発揮。日本の守備が堅固だったのは、もちろん最終ライン4枚の安定感もあるが、田中碧とダブルボランチを組んだ遠藤の貢献も大きかった。

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 その"デュエル王"でも、スペインやメキシコからはボールが取れなかったという。ただ、グループステージでメキシコと対戦した時(日本が2-1で勝利)は、いつも通りボール奪取はできていたように思う。準決勝で一段ギアが上がり、しかも一度対戦した後でのメキシコ戦では、また別の感覚を持ったのだろう。

 スペイン戦では、遠藤がプレスを掛けようとした瞬間、注目のMFペドリがターンをしてマークを剥がした瞬間があった。「さすがに手を焼いているな」という印象だったが、本人もボールを取り切れないもどかしさを感じていたようだ。それでも、チェックは怠らず、ペドリに決定的な仕事をさせなかった点はさすがだったが。

 五輪ではベスト4の壁、ワールドカップではベスト16の壁。日本がこれを乗り越えるのは、スペインやメキシコのような相手に勝たなければならない。その難しさを改めて痛感させられた、遠藤の言葉だった。

取材・文●江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)
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