【釜本邦茂】50年前よりも格段にレベルは向上したけど、試合を決めるのはやっぱり個人の力!三笘をもっと早く見たかったが…

2021年08月07日 サッカーダイジェストWeb編集部

決勝トーナメントでは個の力で状況を打開できる選手が少なかった

日本の攻撃の中核を担った久保(左)と堂安。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 東京オリンピックの3位決定戦はメキシコに1-3で敗れてしまった。惜しくもメダルには手が届かなかったけど、選手やスタッフたちの頑張りは讃えてあげたいね。

 日本は早い時間帯で先制点を許してしまったことが、苦しい試合運びに終始する原因となった。前半で2点を失って、早めに1点を返せていればまだ望みはあったかもしれないが、後半立ち上がりにセットプレーから3点目を奪われると、その後はメキシコに手堅く逃げ切られてしまった。

 どうも日本は久保や堂安に象徴されるように、中盤にはいい出し手がいるのに、その先に良い受け手がいない。FWの林は、ペナルティエリアの中でボールを受けられるようにもっと勉強しなければいけない。裏へ走ったり、単独の突破で敵に脅威も与えていたのだから、あとはしっかり味方からの信頼を得て、ボールを預けられる選手にならないといかん。
 
 結局、差がついたのはそこの部分。前に良いパスの受け手。つまり点取り屋がいなかったということ。グループステージでは久保が3試合連続の先制弾を決め、なんとかうまく回っていたように見えたけど、やはり決勝トーナメントに入ってからは、相手に厳しくマークされ、ゴールから遠ざけられた。ただ、彼のプレースタイルを見る限り、ストライカーというよりはむしろ、パサーでありチャンスメイカー。久保に毎試合ゴールを期待するのは酷な話だよ。

 ニュージーランド戦にしろ、スペイン戦にしろ、やはり個の力で状況を打開できる選手が少なかった。スペイン戦の終盤に相馬がそういう役割を担っていたけど、試合を通じてコンスタントに仕掛けられていたわけじゃない。

 メキシコ戦では、三笘が途中出場から何度も相手の守備を切り裂く突破を見せた。もっと早く見たかった選手のひとりで、せめて後半の45分くらいの時間は見たかったが、それでも采配について特に言うことはない。そりゃあ、ファンやメディアの人たちは言いたいことを言ったらいいと思うけど、結局チームのことを最もよく知る立場のスタッフが決めることだからね。

【五輪代表PHOTO】U-24日本1-3U-24メキシコ|三笘が反撃の1点を返すも追加点が遠くメキシコに敗戦

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