【セルジオ越後】久保くんの涙に感動とか言ってる場合じゃない! プロにドンマイ、ドンマイなんて必要ないよ

2021年08月06日 サッカーダイジェストWeb編集部

メキシコ戦はまさに吉田の言葉通り。「完敗」だったよ

試合後の取材対応では悔しさを露わにした久保。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 53年ぶりのメダルの期待が懸かった東京オリンピックだけど、3位決定戦でメキシコに1-3の敗戦。キャプテン吉田の一言がまさに、この試合を言い当てていたよ。

「完敗です」

 さすがオーバーエイジで経験のある選手の言葉だったと思うよ。紛れもない完敗。前半、日本は主導権を握られて2点をリードされた。そのまま前半はこれといった反撃もできず、後半も追撃の1点を奪う前に、セットプレーからしてやられて、相手はもう無理をする必要がなくなった。
 
 日本はそこから三笘や上田を入れて反撃に転じたけど、メキシコはがっちり引いて最後のところを集中して凌いでいた。最終的なスタッツは日本がボール保持率で上回って、シュート数もメキシコ8本に対し、日本19本と大きく上回った。でもそれは結局、守りに入った相手を攻め切れずに終わったということ。枠内シュートはメキシコ4本、日本5本と、シュート本数に比べて差がないところにも、両チームのクオリティの差が表われているよ。

 オーバーエイジに守備的な選手を3人入れたにもかかわらず、セットプレーから3点を奪われた。これはもうチームプランとして、あってはいけないゲーム展開だった。チームの課題は明らかで、トーナメントに入って点を取れなくなっていた。要するに、決勝トーナメントに進んでくるハイレベルな相手に研究されたなかでは、点を取り切るクオリティがなかったということ。

 三笘をもっと早く入れておけば良かったという見方もあるかもしれないが、日本がそれで決定機を作ったのと同じように、メキシコも同じようにいつゴールを奪ってもおかしくない展開だった。リスクを冒せば点を取るチャンスが増えるのと同時に、ピンチも増える。この展開での起用なら、あるいはもっと差をつけられて負ける可能性もあったよ。

 森保監督の采配も試合展開にあまり変化をつけるものじゃなかったけど、結局それだけのメンバーがいなかったんでしょ。コックさんに例えるなら、実は料理をつくるのにあまりいい材料が揃っていなかったということだよ。
 

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