「忍耐が試される」“経験者”ベルバトフがケインの現状に見解。「試合には出ろ。火に油を注ぐ」

2021年08月06日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

自身はトッテナムから期限最終日にマンU移籍が決まる

ベルバトフ(左)が、過去に自身が経験したものと似た境遇にあるケイン(右)に金言を授けた。(C)Getty Images

 タフネゴシエーターで知られるダニエル・レビー会長が率いるトッテナムからの移籍を目指し、練習に出ないという強硬手段をとったハリー・ケインの心境を知るのに、ディミタール・ベルバトフ以上の存在は中々いないだろう。

 2008年、同じくトッテナムからマンチェスター・ユナイテッドへの移籍が難航し、最終日の土壇場に取引がまとまった元ブルガリア代表FWは、『betfair』のコラムで、ケインの現状は当時の自分を思い起こさせると話した。

「ケインがこうしたのは、何かが上手くいかなかったからか、誰かが約束を破ったからだ。忍耐が試され、断固たる移籍への決意を示す必要がある。

 こういうことは以前もあり、今後もある。だが、決して望まないことだ。選手はクラブとフェアに話したいもの。移籍だろうが残留だろうが、正しくビジネスをしたいんだ。しかし、それがいつも可能というわけではない」

 ベルバトフは「練習に出ないのは最後の手段。そこまできたら難しい状況だ。人々を失望させる。ファンは裏切られたと感じるだろう」としたうえで、試合には出るべきとの見解を示している。

「ユナイテッド移籍に迫ったときに、私はスパーズで2試合に出なかった。振り返ってみると、それは移籍するうえで大きな役割を果たさなかったと思う。

 心身ともに落ち込むんだ。あらゆるシナリオを考え、精神的に消耗する。自分はやってしまったが、試合をボイコットするのはケインにとって最悪のひとつだろう。見ていて痛ましく、ファンやクラブに関係する全員にとっては受け入れがたいことだ。見たくない。火に油を注ぐ」
 
 経験者は「代理人はおそらくシティとコンタクトを取り、どうすべきか意見交換しているだろう。だが、本人は自分を疑う」と、ケインの心境を慮った。

「彼はミスター・スパーズだからだね。長きに渡ってベストプレーヤーだった。自分のためであっても、この全てから苦しむのは選手だけなんだ」

 移籍は実現するのか、それともトッテナムに残留するのか。いずれにしても、今後を見据えるうえで早期決着が望ましいことは確かだ。ただ、ベルバトフは早く解決することを願いながらも、最終日にユナイテッドへ移籍した経験を踏まえ、「マーケット終了近くまで決まらないと思う。ぎりぎりまでかかるだろう。2008年のことから、私はそう望まないがね」と続けた。

「2008年の最終日、私はまだロンドンにいて、代理人がレビーと会いに行っていた。疲労困憊で昼寝を必要とし、その間にマンチェスターに行く夢を見たんだよ。代理人からの連絡で目を覚ますと、『起きて支度しろ。マンチェスター行きのフライトだ』と言われた。飛行機に乗り、土壇場でサインして…あとは知ってのとおりだ」

 行き先はユナイテッドでなくとも、ケインはベルバトフと同じ道を歩むことになるだろうか。リオネル・メッシの今後を巡り、大きな動きが待たれるサッカー界で、イングランド代表のキャプテンとスパーズがどのような決断を下すのか注目だ。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部

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