メキシコの手のひらで踊らされ…。泣き崩れた久保に象徴されるバッドエンド【東京五輪/編集長コラム】

2021年08月06日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

森保監督はなぜもっと早い段階で動かなかったのか

久保は最後まで懸命にプレーしたが……。試合終了後には思わず号泣。写真:Getty Images

 試合前日にキックオフ時間が変更(20時から18時に)された3位決定戦、今大会この時間帯の試合を経験していないからだろうか(メキシコは17時キックオフのゲームを2試合やっている)、日本は動きが重たかった。左サイドバックの中山がライネスにあっさりとかわされ、13分には遠藤が相手を倒してPKを献上。最悪に近い展開で先制された。

 しかも、17分にはFKからバスケスのヘッドでゴールを割られ、早々と0-2になってしまった。実績、戦力ともに格上と目されたメキシコを相手にリードされれば苦しくなるのは当然で、ここから流れを変えるには選手の頑張りはもちろん、森保監督の采配が鍵となるのは間違いなかった。

 選手の話をすれば、0-2とリードしてから「どうにかしたい」という気持ちが伝わってきたのは久保のプレー。だが、どうにか崩そうとする久保のイマジネーションに他の選手たちがついていけず、決定機を作れない。

 前半途中から日本が攻めているようで決してそうではない。スコア的な余裕があり、無理をしないメキシコの手のひらで踊らされているような印象で、準決勝まで中盤を支えたボランチコンビ(遠藤と田中)も相手の要所を締めた守備を崩せず、だからこそ森保監督の采配が肝になると考えていた。
 
 しかし、後半の頭から出場したのは旗手のみ(相馬に代えて)。例えば林、相馬、中山に代え、奮起を期待して上田と三笘、攻撃的な旗手を投入するぐらいの手を打ってほしかったが、そうではなかった。

 選手交代が遅い。それが率直な感想だ。後半に入ってもメキシコ優位の構図は変わらず、58分にはCKからベガにヘッドで決められ、もはや万事休す。

 0-3になってからの上田と三笘の投入……。森保監督はなぜもっと早い段階で動かなかったのか。こういう試合でこそ指揮官の力の見せどころだが、正直、カタール・ワールドカップの最終予選に向けても不安が膨らんできた。果たして、現体制のままでいいのか、と。

 三笘が1点を返したものの局面での戦いをほとんど制したメキシコの勝利は妥当で、結局、日本はロンドン五輪と同じ4位。泣き崩れた久保に象徴されるように、バッドエンドと言われざるを得ない。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)

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